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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

読み解く力(1) 記述問題 お手上げ日本

読み解く力(1) 記述問題 お手上げ日本 : 教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ON-LINE (読売新聞)


 高校生の「読解力」低下が指摘されている。国語教育そのものに問題はないのか。

 正しい答えが書けたのは198人のうち109人で正答率は55・1%。残りの89人は誤答で、うち26人(13・1%)についてはその設問の解答欄が空白のままだった。何も書けなかった生徒が言った。

 「こんな問題は初めて。どうしたらいいのか、分からなかった」

 私立麗沢高校(千葉県柏市)の1年生が昨年12月に取り組んだのは、経済協力開発機構(OECD)が2000年に実施した国際学習到達度調査の「読解力」問題。03年の到達度調査の結果が公表され、日本の若者の「読解力」の低下が指摘された直後のことだった。

 26人の生徒の解答欄が空白だったのは、論述形式の最後の設問だった。

 学校の壁や街にあふれる落書きに対する意見が書かれた2通の手紙のうち、内容への賛否は別として、どちらがよい手紙か。〈書き方に触れながら、あなたの答えを説明してください〉

 1通は「学校の壁の落書きに頭に来ています」という落書き否定派で、もう1通は「(落書きも自分の考えを発信する)一種のコミュニケーション」という肯定派。手紙はいずれも400字前後の長さがある。

 生徒たちの答案を採点して結果を分析した「つくば言語技術教育研究所」(茨城県)の三森ゆりか所長(47)によると、生徒が頭を悩ませたのは「手紙の書き方に触れながら、自分の答えを説明せよ」という設問の形式だったという。

 「日本では、与えられた資料に基づいて自分の意見を述べる訓練が少ない。欧米基準のこうしたテストに、日本の今の国語教育を受けた子供たちが対応するのは難しい」

 中高生時代を旧西独で過ごし、ドイツの国語教育の手法を広める活動をしてきた三森所長によると、欧米と日本の国語教育は大きく違うという。

 欧米で重視されるのは、「自分の考えを論理的に組み立てたうえ、いかに分かりやすく表現するか」。実社会で役立つ表現技術を身につけるため、物語の分析や本の要約などを徹底的に行う。これに対して、「日本の国語は、情緒的な読みに偏り、技術を嫌う傾向がある」と三森所長は言う。

 麗沢高校に併設されている麗沢中学で、一昨年から、三森所長は「言語技術科」という授業を始めた。見た物を文章で正確に描く描写訓練、文章の要約などを通して、論理力や表現力を磨くのが狙いだ。

 国際学習到達度調査の「読解力」問題には、その授業を受けていない高校生にまず挑んでもらった。そして、ドイツ流の「言語技術科」の授業を受けてきた現在の中学3年生には、高校に進学する4月以降、先輩たちと同じ問題を解いてもらうことになっている。

 「『どうしたらいいか分からない』という生徒は、今度はほとんどいないはずです」と三森所長は語っている。

 ◆高い無答率

 文部科学省によると、日本の生徒は、OECD到達度調査の読解力問題の中でも記述・論述に弱く、解答欄に何も書かれていない無答率も高いという。

 麗沢高校の1年生の無答率が13・1%だった2000年の「落書き」の論述式問題の日本の15歳の無答率は27・1%。OECDの平均無答率(13・9%)の2倍近かった。また、社内の通知文書の出来ばえを、レイアウトや文体、イラストなどの面から分析・評価させる問題は41・9%が無答で、これもOECD平均(21・6%)を大きく上回った。

 経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査 各国の15歳(日本では高校1年生)が、知識や技能をどれだけ実生活で活用できるかを評価するのがテーマ。OECD加盟国を中心に32か国が参加して2000年から始まった。2回目の2003年は、加盟国を中心に41か国・地域約27万6000人を対象に実施され、日本では、無作為に選ばれた約4700人が試験を受けた。

 2000年に8位だった日本の「読解力」は、2003年には加盟国平均に相当する14位まで落ち込み、「読解力」の低下論議を巻き起こした。

 「読解力」問題については、2000年の一部が公表されているが、2003年分は今のところ未公開。

(2005年3月1日 読売新聞 無断転載禁止)
by miya-neta | 2005-03-01 16:10 | 教 育