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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

介護流柔術 古武術に学ぶ「やさしさ

asahi.com : Be on Saturday


介護流柔術 古武術に学ぶ「やさしさ_b0067585_22111046.jpg 介護する側が介護疲れで介護される側になってしまった、という話をよく聞く。寝かせたきりや筋力が弱った人を助け起こす時など、介護者の体の負担は想像以上に大きい。そんな介護の場に新しい体の使い方を採り入れた介護術を実践している人がいる。する人、される人、双方にやさしいとうたう講座「古武術に学ぶ介護術」に参加した。

 講師は、介護福祉士の岡田慎一郎さん(32)だ。重度の要介護者がいる福祉施設で10年間働きながら、独自で介護の技術を磨いてきた。当時の同僚たちは、体重56キロの岡田さんが倍もある重い相手をひょいと持ち上げることに驚いていたという。

 足腰の弱った人をいすから立ち上がらせようとするとき、一般的なやり方は、相撲でがっぷり四つに組むように抱きかかえ、体を垂直に持ち上げる。介護者の腕や足腰にずしりと相手の体重がかかってくる。

 だが、「空手など格闘技の技術を応用した」という岡田さんのやり方は違う。腰を曲げて前かがみになっている姿勢の状態で、介護者が後ろから背中を押し出すようにして立たせる。体が自然にバランスをとろうとする反射運動を利用するのだ。このやり方だと介護される人も「無理強いされているような、いやな感じがしない」という。

 今回は(1)イスから立ち上がらせる(2)寝ている人の上体起こし=写真=(3)半身を起こして座っている状態から添え立ちする動きを学んだ。老人介護施設で働く嘉山あゆ美さん(25)は講座に参加して、「介護しているうちに自分も整体の世話になった。相手も自分も楽な介護なんて目からウロコです」と驚く。

 「相手の体の状態によって、必要な介護は変わってきます。講座では体の使い方の原理を学んでいってくださいね」と岡田さんは強調する。その原理を支えているのは、武術家の甲野善紀さん(56)が実践する古武術を応用した介護術だ。

 「ナンバ歩き」など日本古来の動きを現代に伝える甲野さんが、古武術を採り入れた「介護流柔術」を提唱した。「武術と同じように、局所に負担がかからない動きで、自分の体重や相手の体重をうまく利用して行うのがポイント。体の声を聞くことを忘れないでください」と甲野さんは話す。

 岡田さんは甲野さんとの交流を通して「介護流柔術」を、より効率的なものに練り上げていった。「介護するほうも気持ちいい介護流柔術の動きは将来の予防介護にもつながる発想なんです」と岡田さん。

(文・石塚知子、写真・小暮誠)

 講座 次回は(1)4月30日18時(2)6月11日15時半(各2時間で定員(1)60人(2)30人。一般会費3150円)。朝日カルチャーセンター・湘南で(0466・24・2255)

 ビデオ 「古武術による発想の転換」シリーズ(人間考学研究所)第2巻(3980円、税込み)、3巻(4980円、同)に甲野善紀さんの介護流柔術の実演を収録

 ほかに 甲野善紀さんの著書「身体から革命を起こす」(新潮社刊)や公式サイト松聲(しょうせい)館HP参照。
by miya-neta | 2005-03-13 22:10 | 科学/技術