子どものうつ(2)休みたがっている頭と体
2005年 03月 30日
1人で悩みを抱えている子どもたちは少なくない
子どものうつは、どのようにして見分けられるのだろうか。
北海道大学病院精神科の傳田(でんだ)健三助教授は、次の7項目のうち、4つ以上の症状が2週間以上続く場合、うつ病と診断されると説明する。
〈1〉睡眠障害(夜中に目が覚める。朝早く目覚める)〈2〉食欲障害(食欲がない。体重が減る)〈3〉日内変動(朝調子が悪く、夕方から楽になる)〈4〉身体のだるさ〈5〉興味・関心の喪失(好きなことが楽しめない)〈6〉意欲・気力の減退(何事もおっくう)〈7〉知的活動能力の減退(集中できず、頭が働かない)――。
「忙しく」なった小学生
ただこれまでは、「子どもにはうつは存在しないという先入観がある」「比較的軽症が多い」「だるさや頭痛など体の症状を訴えることが多い」ことなどから、見逃される例も多かった。子どもたちが1人で苦しんでいることも少なくないという。
具体的には、小学5年生の男児は数年前、「学校へ行けない状態が続いている」と母親に連れられて同大病院を受診した。男児は5年生になって学級委員と児童会副会長に選ばれ、張り切っていた。6年生があまり児童会の活動に熱心ではなく、代わって運動会のプログラム案をまとめることになったが、先生から不備を指摘されて悩むように。
その後朝起きるのがつらくなり、遅刻も目立つようになって、とうとう登校できなくなってしまった。家では、横になっても眠れず、好きだったゲームも楽しめなくなった。食欲がなくなり、気力もでない状態。それが1か月近く続いていたことから、うつ病と診断された。
十分な休養を取るようにし、薬を使った治療を約1年間続け、その後は普通の生活を送っているという。
「うつ病は、様々な要因が関係しながら発症することが多い。この男児の場合も、児童会の問題だけが原因とは考えにくい」と傳田助教授は指摘する。
この男児は、5年生になって、児童会活動のほか、塾通いを始め、サッカーの練習も忙しくなっていた。こうした生活の変化や、まじめで、きちょうめんな性格などの要因が複雑に関係し合った可能性が大きいと見られる。
今の小学生の世界は、テレビゲームやインターネット、携帯電話などの刺激があふれ、人間関係は複雑になり、中学受験などの負担も大きくなっている。刺激やストレスにいつもさらされていると、食欲がなくなったり、気力が失われたりなど、うつ症状が現れることが明らかになっているという。
傳田助教授は「うつは身体の病気だと考えた方がいい。『精神的に弱い』ととらえるのではなく、頭も含めた全身が疲れた状態だと受け止めてほしい。体が休みたがっているのです」と話す。
(2005年2月23日 読売新聞 無断転載禁止)
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