日印首脳会談:日本、中国に対抗 経済関係強化図る
2005年 04月 30日
【ニューデリー 坂口佳代】小泉純一郎首相が29日の日印首脳会談で、インドとの戦略的な関係強化に取り組む姿勢を打ち出したのは、10億以上の人口を持つ大国インドと経済面で連携を強めるとともに、手詰まり状態にあるアジア外交の再構築を図る狙いがあるためだ。日印関係が新たな段階に入ったことを国際社会に印象付け、インドに急接近する中国をけん制する意味合いもある。共同声明に盛り込まれた行動計画がどこまで実行されるかが成否のカギになりそうだ。
会談で、シン首相は「日本の貿易投資は低水準にとどまっている。高い水準に引き上げることに、首相の支持があればありがたい」と要請。小泉首相は「日印関係はインドの潜在力に見合うレベルに発展していない。訪問を契機に顕在化させたい」と応じた。
インドは91年の経済自由化以降、平均6%の経済成長を続け、国内総生産(GDP)はアジアでは、日本、中国、韓国に次いで4位となった。高い経済成長を背景に、購買力を持つ約2.5億人の中間層が出現し、主要国との経済関係を急速に深めつつある。
日本との関係では、日印貿易額は02年の約40億ドルから約60億ドルに増加し、進出企業も01年の約220社から約300社に増えている。しかし、中印貿易額は約100億ドルと約2倍に達している。
会談で小泉首相は中国についてあえて言及し、「日中関係も大変重要だ。今日ほど経済関係が拡大している時はなかった」と述べた。
毎日新聞 2005年4月29日 23時50分