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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

与党教育基本法検討会が空転 『愛国心』 埋まらぬ溝

東京新聞 2005年5月29日

与党教育基本法検討会が空転
『愛国心』 埋まらぬ溝


 与党の教育基本法改正に関する検討会(座長・保利耕輔元文相)の議論が“空転”している。焦点の「愛国心」に関して、「郷土と国を愛し」を主張する自民と、「郷土と国を大切にし」を主張する公明の溝が埋まらない。文部科学省は仮要綱案で「愛する」に一本化することを試みたが、事前に情報が外部に漏れたことに公明が反発し、両論併記となった。こうした水面下での動きに「議論を国民に公開し、世論を喚起する必要がある」と指摘する声が専門家からも出ている。

  (社会部・高橋治子)

 ■両論併記に

 「愛国心」は「教育の目標」の中で何らかの記述をすることになっているが、検討会では表記をめぐって合意に至らないまま、今年三月、初めて文科省が主導して仮要綱案を作成することを了承した。

 文科省は中央教育審議会が答申で「盛り込むべき理念」として「郷土や国を愛する心」を挙げていることや、既に小中学校の学習指導要領に「国を愛し」などと明記していることから、「愛する」で一本化する方向で準備を進めた。省主導で一本化すれば「公明はさほど反対しない」(同省幹部)との見方もあった。

 一方、同省は自民党内に盛り込むべきだとの主張が強く、公明は抵抗してきた「宗教的情操の涵養(かんよう)」を仮要綱案に盛り込まず、いわば自公の“痛み分け”のような形で、一歩前進させようとした。

 だが、事態は直前に一変する。

 これまで検討会が議論してきた改正案の中身は外部に漏れることはほとんどなかったが、五月の連休前に同省が一本化の方向であるとの情報が漏れ始め、公明の不信感をあおった。

 さらに十一日の検討会当日に一部報道で仮要綱案(非公開)は「『愛する』で一本化」と報じられると、「検討会に出席できない」と公明の委員が猛反発。同省は急きょ、両論併記に差し替え、公明党幹部に釈明に回るなどの対応に追われた。

 ■協議非公開

 検討会は一昨年六月に設置されてからこれまでに、非公開で五十二回の会合を重ねてきた。それだけに、保利座長は一部報道について、記者団に「なんで二年間一生懸命仕事してきたのか分からない。大変な邪魔、迷惑であった。虚偽の報道だ」と怒りをぶちまけた。だが、自民党委員の間には「文科省が一本化することについて公明に事前に説明し、情報を外部に漏らさなければ、こうはならなかった」と、同省の不手際を批判する声もある。

 「愛国心」の問題で公明が神経をとがらせる背景には、七月の東京都議選があるとみられる。検討会の上部組織である協議会が開かれれば事態が進展する可能性があるが、今のところ開催の見通しは立っていない。

 一方、こうした与党の動きについて、立法過程に詳しい岩井奉信日大法学部教授(政治学)は「そもそも政府提出法案を事前に与党だけに示すというのは日本だけのシステム。英国では議会軽視になるとして許されない」と指摘する。

 「『愛国心』をめぐる自公の対立は、国民の間にも存在する意見の大きな相違。教育の根幹にかかわる重要法案なのだから、野党も加えた国会の委員会で自由討議にし、国民的な議論につなげるべきだ」と話している。
by miya-neta | 2005-05-29 10:25