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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

「コミケ」の過去、現在、そして未来。

「コミケ」の過去、現在、そして未来。 コミックマーケットの生みの親 米沢 嘉博 氏に聞く - livedoor コンピュータ


「コミケ」の過去、現在、そして未来。 コミックマーケットの生みの親 米沢 嘉博 氏に聞く
2005年も大盛況のうちに終わった「コミックマーケット68」。今でこそ日本最大級のイベントとなった「コミックマーケット」も、ここに至るまでには長い歴史がある。
コミックマーケットの生みの親でもある、有限会社コミケット 米沢 嘉博 氏にコミックマーケットの成り立ちから今日までを伺った。
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米沢嘉博氏


編集部:コミックマーケットの変遷について、教えていただけますか?

米沢:コミックマーケット(以下、コミケ)は、1975年に誕生しました。当時は、自分たちの漫画を発表できる場所が余りなかったんです。それでコミケは同人誌を通じて、作品を見せたい人が集まる場所となりました。そうしているうちに「宇宙戦艦ヤマト」、「機動戦士ガンダム」をはじめとするアニメブームがあったり、雑誌なども変わっていく中で、コミケから生み出されたものと組み合わさりながら1980年代に入り漫画自体が変わっていったんです。

編集部:漫画(コミック)は、どのように変わっていったのでしょうか?

米沢:アニメのファンフィクション、つまりパロディというものを楽しむ女の子たちが1980年半ばからでてきました。それまでのオリジナルな世界とか、ファン研究というものではない新しい参加形態で、どちらかと言えばフリーコンテンツ的なコミックの楽しみ方が生まれてきたんです。その流れの中で、同人誌はさらに大きくなっていったと感じています。

編集部:巨大化するコミケへの対応はどのようにされたのでしょうか?

米沢:会場自体も、申込みサークル数の増加に伴って大きくしていきました。晴海国際展示場 の全館を使った1990年代初めや、その後に東京ビッグサイトへ移った時点で会場サイズの限界が来てしましました。来たい人たちをできるだけ受け入れると言うのが私たちの趣旨なので、開催日を2日から3日に増加させて、より巨大化してきたという流れがあります。
今を思えば、30サークルから始まって、1990年ごろには2万サークルくらいあって、それが現在は、5万の申し込みがあり、今年の夏に入れたのが3万4千サークルくらいです。そういう形で、サークル自体が大きくなっています。

年々巨大化する「コミケ」
  

編集部:巨大化することによるマイナス面を感じることはありますか?

米沢:ジャンルの変遷ということになりますと、当初は漫画、アニメ、その他くらいしか分かれていなかったのですが、年月を経るごとに細分化されています。
コミケも大衆文化の分類、細分化と同じような道をたどっているのだと考えています。最近は、限定されたものを求めてくる人たちが多くなったようにも思います。そして、作品全部を見て回るという余裕がなくなってきていて、もっと面白いものがあるのに、それが発見できないくらいに大きくなったことが、ネックになってきているかなとも思っています。

編集部:同人誌自体も時代とともに変化しているのですか?

米沢:実は、昔は商業誌で書けないものが多かったんですよ。SFもファンタジーも描けない。もちろん、ロールプレイングゲーム的な物語も書けない。そうしたストーリーを同人誌で描いていたわけです。
ところが、商業誌がそれらを取り入れ始めたんです。SFとかファンタジーの専門誌が出てくるようになると同人誌でなければ書けない表現というものが少なくなったんです。
そうした意味で、ファンフィクション的なものとか、性的なもの。つまり、商業誌が取り上げないものを同人誌で扱うようになりました。雑誌がどんどん増えていった1980年代の終わりぐらいに、同人誌でやるものが限定されていったという感じです。

編集部:それは同人誌の限界が来たという感じなのでしょうか?

米沢:いえ、そうではありません。アニパロとか、美少女コミックと言われるジャンルが出てきて、商業誌に取り込まれていったけれど、その土壌である同人誌の中では今でも残り続けています。
若い作家がどんどん出てきて、新しい表現を次々と生み出す。また、10年前に人気があった作家が、未だに長編を書き続けているという例もあります。

新しい表現と新しい作家が、同人誌市場を支える
  

編集部:同人作家に意識の変革は感じられますか?

米沢:昔はプロになるためのワンステップみたいな形で同人誌はあったと思うんです。
ところが1980年代半ば、同人誌からプロになっても発刊をやめない。つまり商業誌でやるものは商業誌で描きながら、同人誌でしかできないことを同人誌でやる。さらに、1990年代の半ばくらいからは、これまでは同人誌をほとんどやったことがないプロの人たちが同人誌をやり始めるといった動きが顕著化してきたんです。
コミケでの同人誌という個人的なメディアが、情報や表現を発信する場所としてプロの作家の方々にも認められてきたのではないかと思います。同人誌で発表されたものが、商業誌にそのまま移ってアニメ化され、ヒットするというのも生まれてきているので、そういう意味では垣根がなくなってきているのかもしれないですね。

編集部:「おたく」という言葉についてどう思われますか?

米沢:「おたく」という言い方自体は、1980年代初めくらいに誕生しました。当時はアニメとか、漫画とか、SFとかのファンの中でも特殊の人たちを指す言葉であったんですよ。それがだんだん、キャラクター好きな人を「おたく」というように、言葉自体の使われ方が変わってきています。
ただ、宮崎事件の時などは「おたく」という言葉に拒否反応を示す参加者が非常に多かったんですよね。今では、「おたく」を格好いいというとらえ方をする人も出てきています。
「おたく」という言葉も、普通に使える言葉になってきたので、以前ほどの拒否感は持たれないようですが、個人個人では未だに使いたくないということはあるみたいですね。
※宮崎事件:1988から1989年にかけ、4人の幼女を殺害、遺体を切断し、遺灰を被害者宅に送りつけた。逮捕後の捜索で自宅から大量の児童ポルノ・ホラー映画など6000本が発見さたた。

編集部:「萌え」という言葉についてどう思われますか?

米沢:昔、キャラクターが好きだとか、こんな漫画を書きたいとか、この作品のファンだという人が一杯いたわけです。それで、同人誌でファン活動をしたり、パロディにしたりした訳ですが、その時の気持ちをなんと呼んでよいかわからなかった。
そこで「萌え」という言葉があると、非常にわかりやすく相手に伝えられるようになったと、昔の人たちはよく言ってますよ。

編集部:漫画と、テレビアニメや映画との違いは何でしょうか?

米沢:漫画の方が自由度が高いんですよ。1つのコマで、1分見ても良いんですよ。読み飛ばしてもいい。もう一度繰り返し見ても良い。
アニメとか、ムービーというのは時間、リズムなんですよね。前に向かって流れていく時間に乗せられる形になるので、演出による時間の流れが体感リズムとなり、気持ち良いと感じるか、感じないかで変わってしまうんですよ。声もそうですね。

漫画ではできないことがいっぱいあります。音が出せない、動かない。そういうものをいかにコマの中に閉じこめて、想像力で補わせるように描くかというのが漫画だったんですよ。人によって読み方が違うのです。
アニメや映画というのは、監督の演出に依存してしまうことがありますよね。漫画の場合は、一枚の絵だけ、あるいは1カットだけで、もう一度、楽しみを味わい直すことができます。だからアニメファンと漫画ファンは、一見同じようでいて、ちょっと違う部分があるんです。。

アニメ、漫画は、表現的には違うもの?
  

編集部:、同人誌に限界はあるのでしょうか?

米沢:コミケットの場合で、同人誌に一つの限界があるとしたら、長編の物語が描けないということなんです。アシスタントがいたり、週刊という形でなければ、何百ページもの作品を描けませんよね。そうすると、1冊が10ページ、50ページといった作品になりやすいのです。これは、パロディなんかもそうです。
そうした短編の中では、とりざたされるのが物語とか、画力であったり、センスであったりするんです。また、そういうものに引きつけられて買うんです。

編集部:コミックマーケットの将来は、どうお考えですか?

米沢:このような場を用意し続けることで、新たな作家が出てきてほしい、描き手が出てきてほしい。また、違う表現、違う楽しみ方が出てくれば良いと思います。

作品とか、表現方法とか、他人に興味がなければ駄目なんです。他人は何を考えているか、何を描きたいのか、どう描いているのかを知りたいからなんですよね。
今ある一番ベストの部分だけ使って描く、それでは5年後はないんです。

コミケの場合は、10年選手だろうが、初めて描いた中学生であろうが、できるだけ平等に扱うことによって、新しい作家が入ってくる。そうすると、その人たちが次に育つ人へと継承されていくというよなサイクルができたと思っているんです。そのサイクルというのがどこに向かっているかは分かりませんが、これからも新しい作家は出てくるんじゃないかという気はします。

編集部:本日は、ありがとうございました。

「コミックマーケット」について、熱く語ってくださった米沢嘉博さん。創作活動で最も大切なもの、それは「他人に興味を持つことで新しい表現方法を模索し、自らの力で描き続けることである」という言葉が心に残った。
「コミックマーケット」は、過去も現在も変わらず、常に新しい表現と新しい作家を生み出す土壌となっていることが大きな力となっている。


■コミックマーケット公式サイト
http://www.comiket.co.jp/


編集部:井上浩一
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ライブドア・コンピュータ編集部


(8月16日12時52分)
by miya-neta | 2005-08-16 12:52 | 芸 能