死後認知:凍結精子使い出産、親子関係認めず 東京地裁
2005年 09月 29日
凍結保存した男性の精子を使い、男性の死後に行われた体外受精で生まれた関東地方の女児が、民法上の父子関係の確認(死後認知)を国側に求めた訴訟で、東京地裁は29日、請求を棄却する判決を言い渡した。奥田隆文裁判長は「男性が死後の体外受精にも同意していたとするには疑問があるうえ、現段階で死後の凍結精子使用を受容する社会的な共通認識があるとは言えない」と述べた。
民法は、父親の死後3年以内に子供が認知の訴えを起こすことができると規定しているが、死後の凍結精子を使用した父子関係についての規定はない。同種の訴訟では03年11月の松山地裁判決が同様に棄却したが、昨年7月、控訴審の高松高裁はこれを取り消し「父親の同意が存在する」として父子関係を認めた(国側が上告中)。この日の東京地裁判決は「今後も発生が予想される本件のような事態を解決するためにも早急な法整備が求められる」と国に注文をつけた。
訴えによると、女児の母親と精子提供者の男性は婚姻関係はないものの同居し、01年に男性は体外受精を5回できる分の精子を提供。凍結保存されて02年まで3回受精を試みたが失敗し、男性は同年病死した。その後、4回目で母親が妊娠し、03年に女児を出産。母親は認知を求めて法定代理人として提訴した。
原告側は▽男性と女児に血縁関係がある▽男性は2回目の体外受精時に子供の名前を付け誕生を待ち望み、死後の体外受精にも同意していた--などと主張。しかし判決は「死亡時に同意の意思があっても死後は同意を撤回できないため、死後にまでその意思が存在していたとみなすのは相当ではなく、4回目の体外受精に同意していたと考えることにも問題がある」と判断した。【武本光政】
毎日新聞 2005年9月29日 22時08分
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