進学塾が著作権侵害~日本ビジュアル著作権協会
2004年 05月 17日
進学塾が著作権侵害(2004年5月17日)
● 申立て当日の記者会見(3月11日、東京地裁内司法記者クラブ)
灰谷健次郎さんやねじめ正一さんなど計33人の作家らが、学習塾の教材やインターネット配信会社の問題集で作品を無断使用され著作権を侵害されたとして3月11日、5社に対する出版と送信などの差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請した。
塾教材の出版、販売、譲渡の停止を求められたのは、「株式会社日能研」(高木幹夫社長、横浜市)、「株式会社みくに出版」(小林隼人社長、東京都渋谷区)、「株式会社四谷大塚」(鈴木靖夫社長、同中野区)、「株式会社四谷大塚出版」(同社長、同杉並区)。塾に対するこのような申し立ては全国でも初めて。また送信停止を求められたのは、「みくに出版」と「株式会社インターエデュ・ドットコム」(河端真一社長、同新宿区)。
原告三十三人のうち、灰谷さんや、三木卓さんら19人が学習塾4社に対して、大岡さんら14人がネット配信会社2社に対して、それぞれ差し止めの仮処分を申し立てた。
記者会見した債権者代理人の藤原宏高弁護士は無断使用された作品数が灰谷さんの「兎の眼」やねじめさんの「鳩を飛ばす日」など102点で、侵害カ所が116カ所、教材49冊に上ったことを報告し、「学習塾教材では作品の出典すら書かれていないケースが多い」と指摘した。
同じく債権者の代理人・本田俊雄弁護士は、ネット配信会社2社がホームページ上で大岡さんの詩「おーい ぽぽんた」など26作品を引用した中学・高校の入試問題や解答などを無断で掲載し32か所に及び著作権や複製権を侵害したと指摘した。その上で、「債務者は各著作物を公衆送信または自動公衆送信可能化してはならない」ことやホームページからの削除など、申し立ての趣旨を説明した。
インターエデュ・ドットコム社は閲覧無料だが、みくに出版は登録者から1校あたり50円から80円の閲覧料金を取っている。
灰谷さんは読売新聞紙上で「作品を通じて子どもたちに喜びや感動を味わってもらいたいのに、露骨な選別の手段である業者テストや塾教材に無断で使われ、子どもたちに逆に苦痛を与えている。残念で仕方がない。私を含めた物書きが自分の権利が侵されているという認識をもっと持つべきだ」(3月11日『読売新聞』夕刊大阪版)と、正鵠を射たコメントを出している。
同日会見に臨んだ作家からは異口同音に著作権侵害行為に対する怒りの声が上がった。
詩人の大岡信さんは「(著作権侵害の)泥棒がのさばっているという、非常に不思議な《逆立ち現象》が教育の世界で横行している。社会的正義に反することが教育の世界でまかり通っていることに驚く。これには厳しい法的な制裁が必要」と語気を強めた。
詩人の三木卓さんも「このように著作権が侵されていることを全く知らなかった。大変驚きましたね。はっきりとした決定を出して決着をつけてほしい」と強調。評論家の富山和子さんも「実物を見ると改めてショックを受ける。著作者の名前も出典も示さずに堂々と書店で売られている。作家にとって自分の作品というのは人格そのもので、自分の命。それが堂々と盗まれて、商売のネタにされていることは、絶対に許せない」と、その怒りをあらわにした。
【5月17日発行・JVCAニュース掲載記事についてのご報告】
5月17日発行のJVCAニュース第2号において、本年3月11日に、12名のJVCA会員が、「四谷大塚」及び「四谷大塚出版」に対し、著作権者に無断で作品を使用した教材の出版差止め等の仮処分を申請したという記事を掲載いたしました。
しかし、四谷大塚出版は、仮処分を申請した時点において、すでに自主的に教材の改訂を行なっており、12名の債権者(著作権者)の作品は使用されていないことが判明しました。
そのため、4月28日に債権者側(著作権者側)は、今回の仮処分申請を取り下げましたのでご報告いたします。
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