ネット選挙運動/解禁に向けて議論を急げ
2005年 11月 26日
公職選挙法で禁止されているインターネットを利用した選挙運動の解禁に向けて、これまで慎重な姿勢だった自民党が法改正の方向で調整に入った。
インターネットは既に幅広く利用され、政党や議員もホームページを日常の政治活動に利用している。選挙運動に関して利用を禁止している方がおかしい。来年の通常国会で公選法を改正し、できるだけ早く実施できるよう議論を急ぐべきだ。
公選法は文書による選挙運動を厳しく規制し、公示後は規定のビラやはがき以外の「文書図画」の頒布を禁止している。
人の視覚に訴えるものはすべて文書図画とされ、ホームページやブログ(日記風サイト)、電子メールなども禁止対象だ。公示前に開設したホームページは公示後も表示が可能だが、更新は許されない。
改正を求める動きは以前からあった。民主党は独自の改正案を提出している。
しかし自民党の一部に根強い反対があり、実現してこなかった。選挙手法が大きく変わることへの不安や抵抗感、議員自身のネット知識の不足など、さまざまな理由がある。
状況を大きく変えたのは、海外に住む有権者の選挙権制限をめぐる訴訟で最高裁が9月、衆参両院選の比例代表に制限した公選法の規定を憲法違反と断じたことだ。
国はこれまで、候補者情報の周知や投票所開設などの困難を制限の理由としてきた。これに対し最高裁判決は「通信手段が地球規模で発達したことも考えれば、公正な選挙は困難でなくなった」と退けた。
違憲判決を受けて国は、2007年夏の参院選までに公選法を改正しなければならない。海外の有権者は70万人を超す。候補者情報の発信などはネット利用が最も現実的な手段だ。在外選挙制度の整備にはネット選挙の解禁が不可欠と言える。将来はネットを使った投票も可能にすべきだろう。
選挙運動でネット利用を認めるにしても検討課題は多い。
政党や候補者のホームページ以外に、第三者のホームページやブログ、電子メール、メールマガジンなど、どこまで範囲を広げるか十分な議論が必要だ。
ホームページの改ざん、虚偽の情報や中傷の書き込みなども懸念される。不正や妨害への対策も詰めなければならない。
ネット利用を認めるのに合わせて、紙媒体による文書配布の規制も緩和する必要がある。
ネットが普及したといっても、ネットを利用しない、利用できない人がいることを忘れてはなるまい。比べて不公平が生じないよう、きめ細かい措置が求められる。
このところ大きな流れになってきたマニフェスト(政権公約、公約集)による選挙をさらに根付かせるためにも、公選法の抜本的な改革が必要だ。
現在の厳しい規制は、有権者が政党や候補者の情報を得る上での妨げになっている。何よりも有権者の立場から選挙の在り方を見直すことを、政府や国会に求めたい。
2005年11月26日土曜日
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