「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

競う教師力(5) 同僚講師が辛口批評

教育ルネサンス : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 同僚が遠慮のない批判を加えて、授業技法を磨く塾がある。

 黒板いっぱいにチョークで描かれた世界地図。馬渕教室枚方本部校(大阪府枚方市)の一室で、中学2年社会科の模擬授業が始まった。

 黒板を背にしたのは、中堅規模の塾から7月に転職した塩崎勉さん(30)。目の前には、生徒役の同僚9人がいる。

 「先週勉強した第1次世界大戦は、どんな性格の戦争だった?」。復習から切り出し、よどみない説明が続く。時に冗談も交え、実際の授業そのものだ。

 扱う単元は「第2次世界大戦」。授業マニュアルはあるが、この授業案は7時間かけて自作した。具体的な説明内容や手順だけでなく、注意点や生徒との想定問答、板書計画、教科書に引くアンダーラインの場所まで、B4判4枚にびっしりと書き込んだ。

 模擬授業は無事終了した。ところが、同僚の評価は予想以上に辛口だった。

 「地図が邪魔で、大事なことを板書できなかった。場所をとるだけで地図の効果は皆無」「『わかりませんかね』と度々言っている。言葉遣いは丁寧でも高圧的に聞こえ、生徒のやる気をそぐ」

 塩崎さんは指摘のたびにうなずき、メモをとる。「自分のプラスにするには、ほめられても仕方がない。厳しいのが、むしろありがたい」。黒板の地図は自分なりに工夫した点だったが、2週間後の“本番”では使わないことにした。





 馬渕教室は1973年、大阪府寝屋川市で開室した。近畿4府県の57校で約1万2000人が学ぶ関西大手だ。

 模擬授業を毎週行うようになったのは15年前。難関校を目指す中学、高校受験の全33校で実施している。白岩誠常務(47)が、その経緯を振り返る。

 「保護者や生徒が塾に望むのは、突き詰めれば志望校合格という結果。それが、教室や教師によって、当たり外れが出たらおかしい。教師にとっても若手には学びの場、ベテランには刺激の場になる」

 塩崎さんの隣の教室では、数学の模擬授業が進んでいた。真っ先に手を挙げて発表を志願したのが、北海道教育大を今春、卒業した大倉健さん(22)。教員免許を持っているが、選んだのは塾講師だ。

 「教員になる訓練として4年間、塾講師のアルバイトをしているうち、学校とは授業後の達成感が違うと感じた」

 平日の勤務は午後2時から10時まで。テストの作成や採点などで、深夜まで残業することもある。そんな中、月2回のペースで模擬授業の発表をこなすが、負担は感じないという。

 「教え方は何通りもあるのに、模擬授業がなかったら、予習もせずに同じ授業を繰り返すだけになっていたかも」。大倉さんにとっての模擬授業は自らの授業力を試し、維持するバロメーターになっている。(関口和哉)

 公開授業と研究授業 公立校の教師の場合、授業を子供たち以外に見せるのは、保護者の授業参観などの「公開授業」と、教師間で授業の中身を検討する際の「研究授業」だけ。これらの実施は、学校や教育委員会の裁量に任されている。教師の研修としては、1年目の「初任者研修」や「10年経験者研修」が法的に義務付けられているが、互いに授業を見せて批評し合う体制には必ずしもなっていない。

(2005年12月17日 読売新聞)
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by miya-neta | 2005-12-17 10:48 | 教 育