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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

生徒指導厳格化:「信頼関係損ないかねぬ」…校長ら懐疑的

教育:MSN毎日インタラクティブ


 米国流「ゼロトレランス」(寛容度ゼロ指導)を下敷きに文部科学省などが生徒指導厳格化の方策をまとめた報告書は、小中学校に対し、問題のある児童生徒への出席停止措置を「ためらうな」と強い調子で促す。だが、校長や現場教師からは「生徒との信頼関係を損ないかねない」と懐疑的な声が上がる。

 「悩みましたよ」。東京都西部の市立中学校長(58)は、生徒に出席停止を命じた時のことを振り返った。注意を聞かず対教師暴力を繰り返す。停止は3日間。「懲罰的な狙いでした」。校長は過去3人に言い渡した。「反省するかどうかは生徒によりまちまち。親が深刻に受け止め、わが子と向き合うかどうかによる」

 高校の停学や退学のような懲戒処分は義務教育の小中学校にはない。「他の児童生徒の学習権を守るため」という大義名分の出席停止制度は「伝家の宝刀」とされ、退職まで実行しない校長もいるという。

 生徒指導の厳格化について、この校長は「強権発動が必要な場合もある」と言い切ったが、すぐに「(強権の)使い方が難しい」とためらいも。「教育はルールで縛ればいいというものではない。強権を振り回せば生徒と教師の個別の信頼関係を崩しかねない」と話した。

 一方、都内の区立小学校のベテラン教諭(52)は「教師が面白い授業をすれば児童は騒がない。文科省は教師の責任を棚上げし、子どもを力でねじ伏せようとしているようだ」と同省の姿勢に懐疑的だ。【井上英介】

 ◇子どもは救われぬ 

 ドラマ「3年B組金八先生」の脚本家、小山内美江子さんの話 非行少年は出席停止や停学、退学へと追い込まれると居場所を失う。非行にはさまざまな家庭的、心理的背景がある。今の教師に彼らを受け止める時間も精神的余裕もない。その支援のために国が配置するスクールカウンセラーは役割を果たしているのか。厳格化で学校は救われても、子どもは救われない。

 ◇ためらう理由ない 

 和田秀樹・国際医療福祉大教授(臨床心理学)の話 米国では「人間の心は変えられないが、行動は変えられる」という行動主義心理学と、微罪を取り締まって重大犯罪を減らす治安理論の影響で、ゼロトレランス教育が隆盛した。「非行少年を大人が受け止めよ」というのは正論だが簡単ではない。まして、子どもを受け止める学校カウンセリング体制が米国より貧弱な日本で、生徒指導の厳格化をためらう理由はない。

毎日新聞 2006年5月22日 21時23分 (最終更新時間 5月22日 23時03分)
by miya-neta | 2006-05-22 21:23 | 教 育