文科省報告書:重大な問題行動を予防
2006年 05月 23日
国立教育政策研究所生徒指導研究センターと文部科学省が22日発表した報告書がまとめられた背景には、子どもたちの問題行動が収まる気配を見せない中で、「児童生徒の側に『何をしても許される』という甘えの感覚を助長させていないか点検する必要がある」との考え方がある。
米国には、割れた窓ガラスを放置しておくと犯罪が多発するので軽微な犯罪から取り締まる必要があるという「割れ窓理論」という犯罪学の理論がある。報告書はその理論も紹介しながら、重大な問題行動を予防するため、子どもたちのささいな問題行動に対して教職員があいまいな態度を取ることを戒める必要性を強調している。
報告書作成の際の調査では、出席停止制度を保護者などに周知していない市町村教委は約8割に上るほか、懲戒処分の方針やマニュアルを示す都道府県教委が3割強にとどまることも判明。現行の制度には運用上、不備があることも分かった。
このため、報告書は「(出席停止制度は)日ごろの指導で統制しきれなくなった場合、生徒指導上の有効な手段の一つと学校や教委は改めて認識する必要がある」と現状に不満をにじませ、懲戒処分も含め適切な運用を求めている。【長尾真輔】
毎日新聞 2006年5月23日 2時52分