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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

【産経抄】6月25日 宗左近 少年犯罪

イザ!:【産経抄】6月25日-コラむニュース


昭和20年5月25日の大空襲で、東京は火の海となった。詩人の宗左近さんは、母親の手をひいて逃げまどううち、その手がずるりと抜けてしまう。「いない 母がいない 走っている走っていた走っている 母がいない」(「走っている」) ▼母を見殺しにしたという心の傷が、長編叙事詩集『炎(も)える母』に昇華するまで22年かかった。「母よ呪ってください息子であるわたしを あなたを生きながら焼いたことをではなく あなたを生きながら焼いたのにもかかわらず そのことのために生きながら焼かれていないわたしを」(「呪ってください」) ▼親友4人の命も戦争に奪われた。宗さんにとっての戦後とは、死者との語らいの時間にほかならない。その過程で縄文土器との出合いがあった。宗さんによれば、自然とともに生きていた日本の原住民縄文人は、2300年前、鉄器を持つ渡来人弥生人に滅ぼされた。縄文人の運命が、戦争の犠牲者たちの悲劇と重なってみえたという ▼87年の生涯を終えた宗さんの訃報(ふほう)が載ったきのうの社会面(東京版)は、紅蓮(ぐれん)の炎が渦巻いているようだった。奈良県で母子3人が死亡した放火事件では、逮捕された高校1年の長男の犯行の動機が焦点となっている ▼医師の父親との間に、学校の成績をめぐる確執があったという。広島市で平成13年に起き、53歳の女性と8歳、6歳の孫の女児が死亡した火災は、保険金狙いの放火のようだ。逮捕の男は女性の長男で、姉妹の父親だった ▼2つの事件の根底には、命をないがしろにし、金がすべてであるとする物質至上主義が横たわっている。そんな日本に、縄文人の愛と優しさを蘇(よみがえ)らせたい。宗さんの作品には、祈りが込められていたのだが。
(産経新聞)
by miya-neta | 2006-06-25 05:00 | メディア