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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

★ イタリアサッカー界の疑惑

U.S. FrontLine Daily 米国ニュース最前線【2006年7月11日 No.1897】
U.S.FrontLine

◇ ニューヨーク・タイムズ 社 説・論 説

(アレキサンダー・スティル論説、7月9日付)サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会では、イタリアが世界中のテレビ観戦者に素晴らしい試合を見せながら決勝まで進んだ。しかしその華々しさとは対照的に、同国サッカー界ではスキャンダルが数カ月間くすぶっており、イタリアチームはW杯で勝つことでその汚名をそそごうとしているように見える。

 イタリア・リーグで持ち上がったのは、少数の有力チームが八百長で勝利を確実にし、テレビ放映料を不当に多く獲得しようとしたという疑惑だ。ナポリの検察は大量の電話傍聴記録などを証拠に、審判を脅し、買収して主な試合の勝敗を操作したとして最有力チームの幹部らを起訴した。

 起訴状によると、ユベントス(トリノ)の元経営幹部ルチアーノ・モッジ氏は、協力的でない審判をロッカー室に閉じ込めた。シルビオ・ベルルスコーニ前首相が所有するACミラン(ミラノ)の幹部は、電話で別の審判を堂々と「われわれの男」と呼んでいるテープが残っている。

 ベルルスコーニ氏の名前がよく出てくるのは偶然ではない。イタリア社会とイタリアサッカー界に似た部分があるとすれば、両方ともベルルスコーニ氏に支配されているということだ。イタリア最大の富豪である同氏は、最大の出版社、映画制作会社を含めた企業グループを所有し、商業テレビの世界を事実上独占している。また同氏は、自分のテレビ局を使ってサッカーの試合を莫大な収入源にしている。以前はイタリアでサッカーがテレビ放映されることはほとんどなかった。国営ネットワークは、試合が放映されることでファンがスタジアムに行かなくなることを恐れていた。

 ベルルスコーニ氏のTVネットワークがこうした状況を変え、週に何試合も放映するようになった。テレビ収入の増加を通して、サッカーは年間60億ドルというイタリア最大のビジネスに変わった。イタリアのサッカー・チームは、他の欧州チームと比べ、テレビ収入に大きく依存している。

 また同国サッカーリーグは、ベルルスコーニ陣営のトップであるアドリアーノ・ガリアーニ氏をリーグ会長に選んだ。当然、ガリアーニ氏はACミランといくつかの裕福なチームを優遇するテレビ契約を結んだ。

 イタリアのサッカーファンは、試合分析や審判の判断などについて、絶え間ないTVトーク・ショーが見られるが、その評論も一部は裏で金が動いていると言われる。最も人気ある番組のホストは、モッジ氏から電話で指示を受けている様子が録音テープで暴露されたことで降板に追い込まれた。

 不正対策として、ACミランなど4チームをマイナー・リーグに格下げする案が浮上している。疑惑に絡んで現在26人が起訴されており、何人かの有名選手は収監される可能性もある。

 W杯でのイタリアチームの快進撃は、選手が腐敗したシステムから解き放たれ、フェアに競技できた結果である。今日の決勝の結果にかかわらず、イタリアチームの選手が国に帰ってまた腐敗した試合を再開するようなことにならないよう祈ろう。
by miya-neta | 2006-07-11 10:18 | スポーツ