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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

家庭調査:日本と韓国の「父親不在」など際立つ

教育:MSN毎日インタラクティブ


 国立女性教育会館が日本、韓国、米国、タイ、フランス、スウェーデンの6カ国で実施した「家庭教育に関する国際比較調査」では、欧米に対し、日本と韓国の「父親不在」と家事・育児の母親偏重ぶりが際立った。同会館は背景に「父親の労働時間の長さ」という共通点を指摘する。子どもと接する時間が6カ国中最短となった韓国では、時間の短さに悩む父親が94年の24.7%から今回、日本を上回る49.0%とほぼ倍増した。

 日本以上の猛スピードで高度経済成長を達成したエネルギーと、97年の金融危機以降の過酷な「改革・失業・格差拡大」体験とが混在する韓国。「働くお父さん」と子どもの接触が日本より少ないのも無理はない。

 父親の帰宅が遅い主因は一般的に、長時間労働と「会食」だ。韓国では食事を共にすることで集団の一体感が強まるという意識が強く、上司や同僚の誘いを断りにくい。夕刻以降なら酒席になり、ますます時間がかかる。

 これに伝統的な「男の自意識」が重なり、特に40代以上の父親は「家事・育児の夫婦分担」「子どもとの対話」などに消極的だという批判を浴びることが多い。

 韓国政府が今年3月に発表した約3000世帯の調査では、15~25歳の男女の「悩みの相談相手」として母親が32%だったのに対し、父親は4%に過ぎなかった。幼少時から続いた接触不足の結果と解釈されている。

 特に韓国で特徴的な「父親不在」要因として、教育熱とインターネット普及がある。

 学問を重視する儒教的伝統と社会階層の格差拡大を背景に進学競争は過熱の一途。支援者は主に母親で、「母と子どもが米国や中国に留学、父親は韓国から仕送り」といったケースも増えている。父親が早めに帰宅しても子どもは学習塾や学校図書館での受験勉強で不在というパターンも多い。

 一方、ソウルで長女を「英語幼稚園」や各種の習い事に通わせている共働きの女性(38)は「夫は帰宅してもパソコンに向かって残業。娘もコンピューターで遊んでいる。同じ家にいても触れ合いは少ない」と嘆く。日本以上にインターネットが一般化した社会の、一つの断面だ。【ソウル中島哲夫】

 ◇共通するのは長時間労働

 父親のほぼ2人に1人が食事の世話をするスウェーデンに対し、5人に1人の韓国、10人に1人の日本。しつけには日本の半数、韓国の6割が参加するが、欧米には及ばない。幼稚園の保護者会に出かける割合も日本、韓国は1割前後だ。

 日韓両国に共通するのは長時間労働。今回の調査では、1週間に49時間以上働く父親は日本が53.4%、韓国が53.0%で、ともに5割を超えた。特に韓国は60時間以上働く割合が31.7%と日本を上回った。

 94年と今回の調査に参加した牧野カツコ・お茶の水女子大名誉教授は「母親に育児の責任と負担が集中しており、少子化に直結する問題。厳しい労働環境を見直し、父親が育児休業を取りやすい職場環境が必要だ。高校の家庭科は94年度から男子も必修化したが、もっと子どもに接する時間や機会を作るべき」と日本社会に体質転換を求めている。【長尾真輔】

毎日新聞 2006年8月1日 21時53分
by miya-neta | 2006-08-01 21:53 | 社 会