エイズ治療のカギは「エリート感染者」研究~感染してもウイルス増殖なし
2006年 08月 20日
更新2006年08月18日 18:46米国東部時間
エイズウイルス(HIV)に感染していながら体内でウイルスが増殖せず、従って免疫力も弱まらない「エリート感染者」の研究が、エイズ治療の現場で注目されている。
ワシントン・ポストによると、このような患者は、体に備わった何らかの機能がウイルスの活動を抑制しているという意味で「エリート・コントローラー」と呼ばれ、エイズ感染者300人に1人の割合で存在すると推定される。自覚症状がなく医者にかかることもほとんどないため、エイズ研究者の目に触れることはほとんどなかった。
なぜエリート感染者でウイルスが増えないかを解明することがエイズ治療のカギと考えるハーバード大学医学部のブルース・ウォーカー教授は、カナダ・トロントでこのほど開催された第16回国際エイズ会議で、血中のウイルス量が1ミリリットル当たり50個以下の、通常の研究設備では発見できない患者の情報提供を呼びかけた。同氏が2年前、米国の研究者500人にこの定義に当てはまる患者がいるかどうか聞いた時に、半分以上の手が上がったのを見て「間違いなく存在する」と確信したという。
ウォーカー氏の研究チームは現在までにコントローラー約100人の名前を把握したほか、西海岸の医師の協力で50人を特定した。エリート感染者に関する記事が最近のロサンゼルス・タイムズに出てからは、毎週約10件の問い合わせがあるという。
カリフォルニア州ダイヤモンドスプリングスの景観デザイナー、ロリーン・ウィレンバーグさん(52)は1992年、HIVに感染した夢を見た翌日に病院へ行き、感染者と診断された。それ以降健康な生活を送ってきた彼女は、昨年コントローラー・プログラムに登録し、このほど友人や隣人たちに感染者であることを打ち明けた。「14年という歳月は押し入れに隠れて暮らすには十分過ぎるほどの長さだった」という彼女は、「良好な健康状態に恵まれている以上、打ち明けられない、打ち明けたくない人の代弁をする責務がある」と語った。
HIV感染者でも少数ながら長期間生きられる人がいることは、エイズ研究者の間では以前から知られていた。それを「エリート感染者」「長期進行停止型患者」とひとくくりにすることには異論があるが、感染後少なくとも10年間免疫システムが正常なままで生きている人は多い。
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