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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

バーチャルリアリティ体験!人工現実が気持ちが良い

インテリジェンスの業界レポート


バーチャルリアリティ(=VR)、言葉だけはよく聞くだろう。それが具体的に何なのか、よくわからなかったりする。人工現実感と訳されるVRは、ようは人間の感覚をだます技術だ。ないものをあるように、作り物を本物に見せるのだ。

本物とニセモノの区別がつかない、驚異の3Dサウンド!

立体音響のことを初めて知ったのは大学生の時である。ホロフォニック録音が小さく流行した。人間がコウモリのように耳から音を出しており、その音の反響で音源の位置を特定しているという理論があり、その耳から出る音も一緒に録音すると音が立体になるという触れ込みだった。ホロフォニック録音で採音されたというCDを聞いた。中身は“頭に紙袋をかぶせる”“髪を切る”“タバコに火をつける”といった、音響効果のようなものが収録されていた。

あの衝撃はいまだに忘れられない。ヘッドフォンで聞くと、本当に頭の上から紙袋をかぶせられた。髪を切られた。タバコの匂いが漂ってきたと錯覚した。音のリアリティが通常の音楽とはまったく違っていた。別物だ。

ホロフォニック録音は理論が信憑性に欠けるということで市場から消えたが、立体音響は残った。実際、ホロフォニック録音ではなくとも、音の位相をズラせば、音は立体になるのだ。

最新の立体音響を聞く機会に恵まれた。株式会社ティーファイブは立体音響の商品開発を行っている。代表の細谷氏は、顧客に対するデモンストレーションに打ち合わせをしている場所で作った立体音を流すそうだ。

商談相手に目をつぶってもらい、そこへ社員がお茶を持ってきて目の前に置く、という音を流すのだ。相手はあまりにもリアルさに音が流れていることに気付かず、誰もいない空間に向かって会釈し、何も聞こえないと文句を言うのだそうだ。スピーカから出ている音と本物の音の区別がつかないのだ。

神がかり的なレベルなのである。ヘッドフォンではなく、スピーカからの音でも立体音響は可能だ。目の前にスピーカがあるのに、音が真上から聞こえるなんて芸当は朝飯前。そもそも立体音響は、人間の頭部の形をしたダミーヘッドの耳にマイクを埋め込み、そのダミーヘッドを使って録音するのが普通だった。人間は耳の位置が離れているため、そこで音の位相差が生まれ、その差が位置関係を生むのだ。

今はマイクが2本もいらないし、録音された音源を立体音響に変えることもできる。どの空間でも音を作ることはできる、と細谷氏。

遊園地のアトラクション用に作った音源を聞いた。部屋の中を人が歩き回り、天井の隅から滝が落ちる。聞いているうち、ヘッドフォンの外側から音がする気がしてきた。空間の広がりが音でわかるのだ。


映像に飲み込まれる快感!松下電工のサイバードーム

松下電工のサイバードームは半球状のスクリーンに立体映像を投影するVRシステムだ。立体映像を投影し、偏向レンズを使った特性サングラスをかけて見る。

人間の目に物が立体に見えるのは、目の位置が左右にずれているためだ。左右にずれた映像を脳が立体に合成している。立体映像では当然だが、映像は平面だ。左右をずらした同じ2つの映像を偏向レンズを通して投影する。サングラスの偏向レンズにより右目の映像は右目で、左目の映像は左目で見ることになる。映像の左右のズレにより、3次元の実物を見ているかのような立体映像を錯覚するのだ。

松下電器産業の総合ショールーム、ナショナルセンター東京には直径8.5mのサイバードームがある(ビジネス関係者のみ公開)。このプラネタリウム並のスクリーンに映像が投影されると、視界全体が映像に飲み込まれたかのように錯覚する。18台の液晶プロジェクタを同期させ、曲面に投影される画像を平面へと補正して投影しているため、映像に歪みはない。そのリアルタイムの演算処理が市販のパソコンを使って行われているというから驚きだ。

その迫力は圧倒的で、CGで作られたイルカや魚が泳ぐデモ映像では、自分の上を通り過ぎていく魚を見上げて見送るという稀な体験をすることができた。ジェットコースターのCGでは実際に自分が乗っている錯覚を覚える。きわめつけは川だった。立体に見える川は自分を喉元までずっぽりと沈めてしまうのだ。

一般には都市計画の完成予想のシミュレーションに使われており、街のCGをあらゆる方向から確認できる。

なかなか触れる機会がないVR技術だが、実際に目に耳にするとそのだまされる感覚が何とも気持ち良い。爽快だった。裸眼で見える立体映像や広告に立体音響が使われるなど、技術の進歩によりVRは少しづつ身近になり始めている。日常を変える新鮮な体験、もうすぐみんなのものだ。
by miya-neta | 2006-09-13 22:40 | 科学/技術