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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

【コラム・断】酔っぱらいに甘かった日本社会~井口優子

本・アートニュース:イザ!


2006/10/13 09:32

 現職の警視庁交通執行課の巡査部長までもが酒気帯び運転で現行犯逮捕され、免職になった。はじめての酒気帯び運転とは思えない。「今回は見逃せ」との甘えが今までは許されていたと推測するほうが自然だろう。なぜこのようなことが起きるのか。本人の自覚欠如のみならず、酔っぱらいを許容してきた日本社会も影響している。
 
 20年ほど前、「在日アメリカ人がみる日本」というテーマで取材を試みた。私が選んだ30歳前後の彼らは、日本文化や社会に心底興味をもっていた。そんな彼らでも理解しがたい日本人の謎の1つが、駅のホームや電車内で吐く若者や大人たちだった。「日本ではなぜ、酔っぱらいは許容されるのか!?」
 
 数年後、アメリカに住んで彼らの疑問を実感した。アメリカには付き合い酒はない。仕事の憂さを酒ではらしても、酒に飲まれたら「自分をコントロールできない人」として軽蔑される。サンフランシスコ在住時には、事故を起こした運転者に酒を勧めた人の法的責任も問われることになった。
 
 日本に戻り社会を見渡すと、色々な面でアメリカ化してきているのに驚く。このトピックでも、アメリカのような車社会化が、特に地方で進んだ。酒を飲んだ運転者に愛する家族を殺された遺族が、泣き寝入りせずにアメリカ式に裁判をおこして酒を勧めた人を訴えもした。昔のヒット歌に「チョイと一杯のつもりで飲んで…」とあったが、その延長にある「はしご酒」を防ぐためには「チョイと一杯」も厳しく取り締まることとなった。「酒の席」が言い訳にならないアメリカ型社会となったことをよくよく自覚せねばならない。(評論家・井口優子)

<産経新聞>
by miya-neta | 2006-10-13 09:32 | 社 会