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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

奈良・田原本町の放火殺人:中等少年院送致を決定 家裁、未必の殺意を認定

事件:MSN毎日インタラクティブ


 奈良県田原本町の医師(47)方で今年6月に母子3人が死亡した放火殺人事件で、奈良家裁は26日、殺人と現住建造物等放火などの非行事実で送致された長男(16)=当時高1・退学=の第4回審判を開いた。石田裕一裁判長は、「殺意は未必的にすぎず、積極的に殺害しようという意図はなかった。父親から長年理不尽な暴力を加えられており、動機に酌むべき点がないとは言えない」などとして、中等少年院送致とする保護処分を決定した。期間については「長男の更生と、父親との関係改善のため、相当長期の処遇が必要」とした。決定に対する抗告がなければ、少年院で、広汎性発達障害の個別ケアも含め、更生に向けた教育を受けることになる。

 決定は、父親の行動について、しつけや学習指導の限度をはるかに超えた虐待とも言うべきものだったと指摘。長男が孤立感や無力感を深め、父を殺害して家出を決意した、としている。

 また幼いころに実母と生別し、父親から医師になることを過剰に期待された成育環境についても触れ「長男だけにすべての責任を負わせることは相当ではない」とした。

 処遇をめぐっては「厳格な規制の下にある刑務所では、父親による養育環境と相似形になるおそれがある」として少年院を選択した。長男に対し、情緒性や社会性を獲得させる必要性を指摘。さらに、「暴力を加えていた父親の抱える問題性は大きい」として「長男との関係改善に相応の期間を要する」とした。

 決定などによると、長男は幼少期から父親の暴力を交えた厳しいしつけを受けた。6月初旬の中間テストで、英語の結果が悪かったためついたうそが父親にばれることを恐れ、6月20日午前5時ごろ、自宅1階の台所などにサラダ油をまいて火をつけ、2階で寝ていた母(当時38歳)、二男(同7歳)、長女(同5歳)を一酸化炭素中毒死させた。【高瀬浩平、花沢茂人】

 ◇付添人弁護士の話

 更生可能性を適正に判断した的確な決定だ。中等少年院でも発達障害の更生は可能と決定書で触れており、不満な点はない。

 ◇西浦久子・奈良地検次席検事の話

 検察官の意見がいれられず、残念である。上級庁と協議して抗告受理申し立てするか否かを検討する。

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 ■ことば

 ◇広汎性発達障害

 自閉症、アスペルガー症候群など自閉性障害の総称。先天的な脳機能障害とされ、他人の意図を読めず、うまくコミュニケーションできない▽想像力に障害があり、情緒的理解や抽象的思考が苦手▽自分の興味、関心に執着する--などの特徴がある。雰囲気を察知したり、相手の表情から内心を読み取るのが難しく、社会適応に訓練が必要とされる。

毎日新聞 2006年10月26日 東京夕刊
by miya-neta | 2006-10-26 15:00 | 社 会