履修不足:北関東以北に集中 単位不足に地域差
2006年 10月 28日
全国各地の高校での履修単位不足問題で、文部科学省は28日、実態調査の速報結果を発表したが、単位不足などの高校が北海道・東北地方に多いという顕著な「地域差」を示した。一方で、茨城県教委は、県内の私立中高一貫校で中学時代に履修した世界史Bを高校の単位として認めないことを決定。「履修済み」としていた単位が一転して未履修となる事態になった。さらに福島県の高校では急きょ補修授業を行うことになったものの、教科書がそろわない事態も起きている。
28日午前5時半現在の文科省の速報結果には、兵庫県以外の都道府県・政令市教委から回答が寄せられた。単位不足は岩手県が31校で最も多く、北海道(29校)、長野県(28校)と続いた。
地域別では北関東以北の道県すべてで単位不足などが判明。西日本は島根県(19校)、愛媛県(17校)などがあるものの、比較的少ない。また、東京都で1校の単位不足があったが、千葉、埼玉、神奈川県や大阪府はいずれもゼロだった。大都市と地方間の「単位不足」格差がくっきりと浮かび上がった。
大手予備校関係者はこの地域格差について、「地方には地元の国公立大志望者が多い。7科目を課すケースが多くなった大学入試センター試験で、出来るだけ負担を少なくしようと考えると、地理などに比べ学ぶ内容の多い世界史を避ける傾向にある。高校も、この生徒の気持ちをくみ取ったのではないか」と分析した。
毎日新聞が各地の教育委員会の発表を独自に集計した結果では、単位不足校は41都道府県407校(うち私立121校)となった。【高山純二】
毎日新聞 2006年10月28日 20時46分 (最終更新時間 10月28日 23時13分)