常夏の島にホームレス増える~ハワイの海岸、1000人以上が野宿
2006年 12月 11日
更新2006年12月08日 18:58米国東部時間
ハワイ州で、家賃急騰などで住むところがなくなり、海岸にテントを張って寝起きするホームレスが増えている。
人口最大のオアフ島では、ワイキキ観光センターを含むホノルル海岸一帯で数百人が野宿するほか、特に西側のワイアナエ海岸(延長13マイル)にホームレスが多い。同島人口90万人のうちワイアナエ地区は4万人、その大半は先住民で、歴史的に低所得者が多い。同地区だけでホームレスは1000人以上といわれる。
州経済は過去2年間堅調に推移しており、州の失業率は全米で最も低い部類に入る。一方で雇用の拡大とともに不動産が高騰し、数年前なら月200~300ドルで借りられたワイアナエの物件は、現在1000ドルを超えている。
ホームレスの多くは建設現場などで働く。公立校に通う子供を抱える親も多く、夜は家族でテントに寝泊まりしている。
ワイアナエ海岸で夫、娘2人と暮らすベニス・ルイスさん(35)によると、ビーチでは日が暮れると明かりがなくなるため、2人の娘(8歳と10歳)は夕方までに宿題を済ます必要がある。ルイス夫妻にはほかにも子供が2人いて、長女は祖母と、長男は教会の牧師と住んでいる。
住宅問題の深刻化とともに、州知事はビーチを巡回する専門の職員を配置し、ホームレスを仮住宅などへ移住させている。問題が深刻化したのは、ハワイ市およびホノルル郡が3月、住民の苦情にこたえる形でワイキキのアラモアナ・ビーチ公園を閉鎖し、ホームレスを一掃したのがきっかけ。
30年間暮らした月額300ドルのアパートが売却され、身障者保険も打ち切られたアリス・グリーンウッドさん(60)は、6歳の息子とともにワイアナエで野宿する。「ホームレスは犯罪じゃなく政府の過失よ。20~30人ならまだしも、1000人以上もいるなんて…」と語った。(ニューヨーク・タイムズ特約)