福岡・中2いじめ自殺「学校の責任重い」 調査委が報告書
2006年 12月 29日
2006/12/29 08:30
福岡県筑前町で町立三輪中学校の2年生男子生徒=当時(13)=がいじめを苦に自殺した問題で、町教育委員会が設けた調査委員会(委員長・高田清福岡教育大教授)は28日、「言葉のいじめが長期間続いたことが自殺の最大原因。深刻な状況を把握できず、対策を講じなかった学校の責任は重い」との最終報告をまとめ、町教委に提出した。
報告によると、男子生徒は入学当初から同級生に「うざい」「きもい」「消えろ」「死ね」などの乱暴な言葉でからかわれたり、屈辱的なあだ名で冷やかされたりしていた。報告は「蓄積された男子生徒の精神的苦痛は孤独感を伴い、非常に大きなものだった」と分析。周囲の生徒や教諭、保護者に「いじめ」と認識していた者はいなかったという。
学校側の対応については「『死ぬ』などと周囲に話していた男子生徒の異変に、教諭らが気付かなかったことには疑問を呈せざるを得ない」と厳しく非難。町教委に対しても「(自殺後)迅速な調査をして、学校や地域の混乱を回避する必要があった」と対応のまずさを指摘した。
母親からの相談内容をクラスで暴露したり、男子生徒を「偽善者」と呼んだとされる1年時の担任教諭の言動に関しては「自殺の直接要因と考えるには無理があるが、不適切な言動がからかいや冷やかしにつながったことは否定できない」と判断。一方で「特定の生徒に自殺の原因を求めることはできない」とした。
男子生徒は10月11日、画用紙や学校のプリントの裏に「いじめられてもう生きていけない」「いじめが原因です」などと書き残し、自宅の倉庫で首つり自殺した。
報告書を読んだ男子生徒の父親(40)は「自殺の原因をいじめとはっきり認めてもらった。遺書にあった息子の最期の言葉をくんでくれた報告でうれしかった」と、母親(36)は「学校がどう取り組んでいくか、筑前町から全国に発信できるシステムを作ってほしい」と、それぞれ話した。