人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

[いじめ最大の要因 学校の責任指摘 筑前・中2自殺最終報告]

社会 / 西日本新聞


 福岡県筑前町の三輪中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、町教委が設置した調査委員会(委員長・高田清福岡教育大教授)は28日、最終報告をまとめ、生徒が自殺にいたった精神的苦痛の最大要因が「長期に蓄積したからかいや冷やかしなどいじめに相当するものだった」と結論づけた。さらに、長期間のいじめに気付かなかった学校側の責任は重いとした内容を盛り込み、柿原紀也町教育委員長に手渡した。

 最終報告では、12日に行った中間報告とその後の調査も踏まえ内容を精査。その結果、自殺した生徒は中学入学時から複数の生徒から「からかい」や「冷やかし」を受け、それが蓄積した結果「非常に強い精神的苦痛を受けていた」と分析。そうしたからかいや冷やかしは「いじめに相当する」と判断した上で、「自殺にいたる精神的苦痛の最大要因の1つと推測される」と指摘した。

 同調査委は中間報告で(1)中学入学時から断続的に「うざい」「死ね」「うそつき」などの言葉を複数の生徒から投げかけられていた(2)自殺当日にズボンを脱がされそうになる「屈辱的な行為」を受けた‐などの事実を認定。それらを「いじめに類する行為」という表現にとどめていたが「意味が十分に伝わらない」と判断。一連の言動を総じて「いじめ」と認めた。

 報告では自殺を防げなかった要因として生徒や学校、教育委員会の問題点を分析。「死にたい」という生徒の発言を「冗談」としてしかとらえなかった周囲の生徒を「生と死のイメージが希薄であり、死の問題を軽くとらえていた」とした。その上で適切な対応が求められる学校や町教委の責任を指弾し、1年時の学級担任については「不適切な言動」が「からかいにつながる要因となった」と批判。2年時の学級担任を含めその他教師も「深刻な状況を把握できてなかった」。管理職は町教委によるいじめの定例調査で「ゼロ報告」したことなどをあげ、学校全体として「いじめに対する注意が希薄だった」と批判した。

 その上で再発防止への提言として「学校が子ども同士のトラブルを話し合いで解決できるよう指導すること」‐などの必要性を訴えた。

■「見えぬいじめ」を直視

 【解説】なぜ男子生徒は命を絶たねばならなかったのか‐。福岡県筑前町の調査委員会が最終報告で、事件の背景に同級生らによる否定し難い「いじめ」があったことを認めたのは、生徒が残した遺書以外に“物証”が乏しいなか、より被害者の立場に立った結果だ。それが、いじめと死との因果関係も「可能性がある」としていた中間報告(12日)から「大きな要因の1つとなった」と関連を認める踏み込んだ判断につながった。

 調査委は校長ら関係教師、遺族から聞き取りをし、2年生全生徒や全教職員にアンケートを実施した。しかし、「犯人捜しと受け取られ、逆に生徒を追い詰める恐れがある」として、実際を知る生徒からの聞き取りは控えた。そうした限界のなかで、最優先課題としていた「真相究明」に向けた努力は評価したい。

 最終報告が因果関係に言及した意味は、小さくない。三輪中では、自殺した生徒は入学当初から長期間、いじめられていた。だが、学校としてのいじめ対策は不十分で、教職員はそのことに気づいていなかった。調査委のこうした指摘は、いじめ自殺を防げなかった学校側の責任をあらためて問うことになる。

 近年、いじめはますます見えにくくなったといわれる。今回も教師側が気づかなかっただけでなく、からかいや冷やかしを続けた加害者側も、その周りの生徒もいじめと認識していなかった、と最終報告は分析する。「見えないいじめ」のもう1つの現実だろう。

 いじめにどう対処すべきか。現場教師ら教育関係者はもちろん、保護者や地域にも投げ掛けられた重たい課題だ。(社会部・吉良治、朝倉支局・吉田修平)

■福岡県筑前町・中2自殺

 10月11日、福岡県筑前町立三輪中2年の男子生徒=当時(13)=が「いじめられて、もういきていけない」などと書いた4通の遺書を残し、自宅倉庫で首をつって自殺した。その後、生徒が1年の時から「死ね」「うざい」「消えろ」などと同級生らにののしられたり、自殺当日にズボンを脱がされそうになったりする「いじめ」を受けていたことが判明。さらに1年時の担任が生徒の母親から受けた相談内容を教室で暴露するなど、いじめを誘発する言動をしたことも発覚した。事件を受け、政府の教育再生会議のメンバーなどが現地を視察。町教委は11月に第三者機関の調査委員会を設置し、原因究明を続けてきた。

■学校再生に役立てる 柿原紀也・筑前町教育委員長の話

 この報告を真摯(しんし)に受け止め、学校再生に役立てていきたい。

=2006/12/29付 西日本新聞朝刊=

2006年12月29日01時23分
by miya-neta | 2006-12-29 01:23 | 教 育