福岡市教委ナンバー3の理事が漏洩 教員採用試験
2007年 01月 06日
2007年01月06日20時06分
福岡市教委が05年8月に実施した小中学校教員の採用試験内容の一部が事前に漏洩(ろうえい)していた問題で、同市は6日、採用試験を作成する問題検討委員会の委員長を務める市教委の理事(60)が、元同市立小学校長(65)に口頭で試験内容を漏らしたとみられる、と発表した。理事は教育長、教育次長に次ぐナンバー3。元小学校長は理事の話をもとに予想問題をつくり、大学の後輩の就職支援講座で配っていた。
市教委によると、漏洩されたのは、採用試験の2次試験で行われた小中学校の「集団面接」と「模擬指導」の課題。試験の約1カ月前に、元小学校長が市教委の理事室に理事を訪ね、口頭で試験内容の一部の漏洩を受けたとされる。理事は昨年7月6日の問題検討委員会で示された出題の原案を見ていた。
2人はともに福岡教育大の卒業生。元小学校長は試験前日の同年8月20日、同大付属小学校(同市中央区)の教室で、同大同窓会の有志らと試験対策の勉強会を主催。同大出身の教員試験受験者ら約50人に、試験対策の集団面接や模擬指導を行ったという。この際に、予想問題を使ったと認めている。
市教委は5日から221人の合格者を対象に、この勉強会に関するアンケートや聞き取り調査を開始。これまでに少なくとも20人が勉強会に参加したり、配られた書類を見たりしていたという。
市教委は同年12月30日に2人から事情を聴いた。理事は「最近の教育界が抱える課題をキーワード的に語っただけ」と、漏洩に当たらないとの認識を示した。だが、「後輩のことを考えたのか」との質問には「(考えが)あったかも知れません」と答えたという。一方、元小学校長は「(理事が語った内容が)今年の2次試験とは思わなかった」と話し、その後連絡がとれなくなった。
同市教委は、元校長がつくった予想問題と、実際に出題された問題の原案がよく似ていることから、「口頭で聞いただけでつくれるかどうかは疑問」とみている。
植木とみ子教育長は「2人の認識は甘かった。社会正義上、許されることではない」と話している。