タミフル:販売元の中外製薬、厚労省研究班長に900万--講座寄付、6年で
2007年 03月 13日
インフルエンザ治療薬の「タミフル」(一般名オセルタミビル)の副作用について研究する厚生労働省研究班班長の横田俊平・横浜市立大教授(小児科)の講座に、タミフルの輸入販売元の中外製薬からここ数年、平均150万円程度の資金が同大学を通じて渡っていたことが、12日分かった。
横田教授によると、小児科の講座は「奨学寄付金」という名目で毎年、製薬会社約10社から、年間合計600万~1200万円程度の研究費を受けている。これらの寄付金は、まとめて大学当局が管理しており、中外製薬からの資金はその一部にあたるという。
中外製薬からの寄付金は、01年度からの6年間では計約900万円。最も額が多かったのは01年度の250万円で、この年の総額580万円の4割以上を占めた。06年度は、総額1180万円のうち150万円。05年度は0だった。他の寄付金と同様に、大学の規定に従い、研究用試薬や図書資料、若手医師の学会出張の費用などに使っているという。
研究班は昨年、タミフルの服用と、おびえや幻覚などの「異常言動」について「統計的に明らかな関連は認められなかったが、明確な結論には今後の検討が必要だ」とする報告書を公表。この冬も調査を続けている。
横田教授は毎日新聞の取材に対し「多数の製薬会社から資金を受けており、どこからもらっているかは意識していない。資金をもらっているからといって、研究結果をゆがめることはない。班員には他大学の人も多く、班長の独断で中外製薬に有利な結果を出すことはできない。厚労省からも事情を聴かれたが、特に注意は受けなかった」と話している。
厚労省安全対策課は「事実関係を把握したうえで問題があるのかどうかを考えたい」としている。【高木昭午、田中泰義】
毎日新聞 2007年3月13日 東京朝刊