40代女性、私が時代の主役 新規参入 2誌編集長に聞く
2007年 03月 23日
今、40代を狙った女性誌が熱い。既存誌『STORY(ストーリィ)』(光文社)、『Precious(プレシャス)』(小学館)に続き、今月7日には『marisol(マリソル)』(集英社)と『GRACE(グレース)』(世界文化社)が参入。女性管理職を狙って12日に創刊された『日経EW』(日経ホーム出版社)も、実質40代前後がターゲットのようだ。「今どき40代女性」は、それ以前の世代とどう違うのだろうか。新規参入した2誌の編集長に聞いた。(黒沢綾子)
「私たちは、私たちの母の世代には考えられなかった、本当に自由意思で人生を選択できた最初の世代かも」。41歳の出口由美・GRACE編集長はこう語る。
象徴的なのが、男女雇用機会均等法の施行(昭和61年)だろう。「女性総合職が生まれ、腰掛け入社やお茶くみOLではなく、キャリアを積むことが可能になった。結婚もお見合いではなく、トレンディードラマのようにプロポーズされるものでしょ、と思っていた」
バブル景気の中で20代を謳歌(おうか)し、女子大生ブーム、ハナコ世代、新人類、オヤジギャル…と常に時代の“主役級”を張った世代。30代こそ仕事や子育てに追われ苦労もしたが、40代に入り経済的、時間的、精神的に余裕が出てきて、再び興味が向かったのが「自分自身」という。
出口編集長は「再び人生を開花させたいという“上昇志向”が強い。そんな女性たちに『優雅(グレース)な生き方』を提案していきたい」と意気込む。
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松崎千津子・marisol編集長も、現在の45歳くらいを境に、意識や嗜好(しこう)の違いが見えると指摘。集英社は昨年末、40~50代対象の人気誌『メイプル』を“発展的に解消”し、40歳前後向け『marisol』と50歳前後向け『●clat(エクラ)』(今年9月創刊)の2誌に分けた。
「8年前にメイプルを立ち上げたとき、われわれは読者を『あなた方はオバサンじゃない』と激励した。でも今の40代は、最初から自分をオバサンだなんて思っていない」
「働く40代女性」というターゲットが成り立つのも、この世代ならでは。「何らかのかたちで、この世代の過半数の女性が働いている」と松崎編集長。実際、高額商品の掲載が目立つように、各誌が想定する世帯年収は1000万円以上。自己収入がなければ、リアリティーに乏しい世界だ。
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新しい40代女性像は、各誌のファッションページからも見えてくる。オバサン服はもちろん、上の世代のキャリア女性にありがちな“戦闘服”も見当たらない。
「相手を威圧するのではなく、相手を包み込むのも40代ならではの交渉力、ではないでしょうか」と出口編集長。『GRACE』創刊号では意図的にパンツスタイルを外し、スカートを並べたという。
松崎編集長も「若いころ、カジュアルに慣れ親しんだ彼女たちに向け、上品な着崩し方を提案していきたい」と話す。「もう、肩肘張ったファッションはツライ。陰で努力しても、それを表に出さず、たおやかに生きる。そんなすてきな女性は今や、パリやミラノじゃない、ここ日本にいるのですから」
●=eの上にコンマ
(2007/03/22 10:30)