人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

放送検証委発足/自浄機能の確立へ重い責務

河北新報 コルネット 社説


 関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造(ねつぞう)問題などを受けて、NHKと民間放送連盟でつくる第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)は、従来の放送番組委員会を解消して新たに放送倫理検証委員会を発足させた。

 検証委は有識者10人で構成し、番組の質の向上に向けて審議するほか、虚偽の疑いが持たれる番組について調査、審理し、放送局に勧告や見解を出す。必要に応じて再発防止策の提出も求めることにしている。

 放送界の自浄機能の確立に向けて、検証委の責務は極めて重い。
 放送番組に対する視聴者の信頼を回復し、政府の介入や圧力を阻止できるかどうかは、検証委の活動にかかっていると言っても過言ではない。もちろん、放送各社が検証委の勧告などを真摯(しんし)に受け止め、着実に実行することが大前提だ。

 ことし1月に発覚した「あるある―」の捏造はかつてないほど悪質なものだった。放送に対する国民の信頼を大きく傷つけただけでなく、今国会に提出された放送法改正案に、放送局に対する新たな行政処分が盛り込まれる事態を招いた。

 言うまでもなく、放送に限らず新聞、出版などメディアに対する政治や行政の介入、圧力を退け、報道・表現の自由を守るためには、メディアの自浄機能が十分に働き、国民から信頼を得ることが何よりも必要だ。

 放送界は放送への苦情の対応や番組向上の取り組みを強化するため、2003年「放送番組向上協議会」と「放送と人権等権利に関する委員会機構」を統合してBPOを設置した。

 一定の役割は果たしてきたと言えるが「あるある―」捏造問題は、この放送界の自浄機能が十分に働いてこなかったことを示すものだろう。
 自浄機能が不十分だった原因には、番組委の権限が弱かったことなどが挙げられる。

 番組委は有識者とキー局の編成担当局長で構成され「見解」または「提言」を出すことができるだけだった。

 それと比べると、検証委は有識者だけで構成され、勧告などの強い権限を持つことになる。勧告に強制力はないが、BPOの新規約には各社が勧告を順守する規定が盛り込まれた。

 政府は、検証委の活動をまず見守るべきだ。
 放送法改正案は、虚偽の放送をした放送局に対し、総務相が再発防止計画の提出を求めることができると規定している。番組制作に関して、政府が介入したり圧力をかけたりすることができる内容だ。しかも「虚偽」かどうかの判断は政府が行うことになる。

 政府は、放送業界の自主規制機関が機能している間は行政処分を発動しないとしている。それならば、放送界が新たな取り組みをスタートさせた現在、改正案に盛り込んだ行政処分は削除すべきだ。

 削除せず、しかも発動に縛りをかける政府の姿勢は、規定があることで圧力をかける狙いがあると言うしかない。

2007年05月16日水曜日
by miya-neta | 2007-05-16 09:16 | メディア