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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

学校と私:多様な生き方知らせて=作家・雨宮処凛さん

教育:MSN毎日インタラクティブ


 アトピー性皮膚炎が原因で、小学校からいじめの標的になりました。中学では聞こえる所で悪口を言われたり、バレーボール部でしごきに近い練習をさせられたり。顧問の先生は見て見ぬふり。あるいじめられっ子がこの先生に直訴したら、先生はいじめた子を呼び出すと「話し合え」と席をはずしました。残された被害者は密室でボコボコにされたのです。「いじめにはかかわりたくない」と公言する先生に、私は全く相談する気がおきませんでした。

 半年我慢して部活動はやめたけれど、学校は通い続けました。高校受験のプレッシャーが強く、1日休めば人生からドロップアウトすると思いこんでいたのです。学校ではいじめっ子に会わぬよう忍者のように壁づたいに歩き、休み時間は教科書に目を落とすだけ。死にたくて自転車で車道に飛び出したり、手首を切ったりしました。自殺願望は20代半ばで本を書くようになるまで、続きました。

 弟2人のいる長女だったので親には弱音を吐けませんでした。両親とも教育熱心で、テレビも見られない。勉強と部活以外の世界はなく、当時は将来なりたい職業を聞かれても思いつきませんでした。

 高校ではいじめから解放されたけれど、「いつ裏切られるかわからない」と怖く、友達を作らないようにしていました。今でも人と距離を置きがち。いじめは人を変えてしまいます。

 今では、無理して登校する必要はなかったと思います。数十人を一つのクラスに閉じこめ、勉強やスポーツで競わせるのが学校。友達ができないと居場所もなくなってしまう。人生の勝ち負けに直結しているので、子どもたちは血眼でつぶし合う。生けにえを出さないとやってゆけない。閉じた場所ゆえいじめが絶えないのは当然でしょう。

 教師は、被害者を「がんばれ」と励まし追いつめないでほしい。不登校でも卒業できる。転校もできるし、フリースクールもある。学校に戻ることだけが解決ではない。先生は柔軟に考え、多様な生き方ができることを子どもに知らせてほしいと思います。<聞き手・山本紀子>

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 ■人物略歴

 ◇あまみや・かりん

 75年、北海道生まれ。高卒後に右翼団体に加入し、パンクバンド「大日本テロル」でボーカリストを務める。00年に作家に転身し、自叙伝やエッセー、小説のほか労働問題のルポも執筆。

毎日新聞 2007年6月4日 東京朝刊
by miya-neta | 2007-06-04 10:13 | 教 育