人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

都道府県別人口推計/東北は町村消滅の危機

河北新報 コルネット 社説


 これからの30年間で、東北の町村は消滅するのではないか。国立社会保障・人口問題研究所が先月下旬、発表した2035年の都道府県別将来推計人口は、そんな危機感を抱かせる衝撃的な内容だった。

 東北各県の35年の推計人口は、05年時点の人口と比べ、すべて15%以上の減少となる。47都道府県で増加するのは東京、沖縄のみだが、この2都県も20―30年には減少基調となり、日本は一律ダウンサイズの道を歩むシナリオだ。

 東北各県の減少率は、秋田が47都道府県でトップの31.7%。以下、青森(26.9%)3位、岩手(24.9%)7位、山形(24.0%)9位、福島(21.2%)15位と続く。

 宮城だけは、地方中枢都市の仙台の吸引力に支えられ、減少幅の少ない方から15位の16.0%減にとどまるが、東北全体でみると、全国の中でも急激な人口減少地域となるのは避けられそうもない。

 35年の東北各県の推計人口の意味を考えたい。秋田、青森、岩手、山形4県の推計値は、その県内の05年の市部人口を下回る。宮城、福島両県も数万人上回る程度。極端な表現をすれば、東北のすべての町村が消滅するに等しい水準だ。

 秋田に至っては、人口の多い順に秋田、横手などの6都市分、青森は青森、八戸など8都市分に収まってしまう。限界集落が広がり限界町村へ。こうした人口空白地を抱え、地域の経済循環は成り立つのか、農林水産業の担い手はどうなるのか、自然環境は誰が維持するのか―などの問題に直面するだろう。

 少子高齢化も急速に進む。若年層の都市部への流失も歯止めがかからず、15歳から64歳までの生産年齢人口の割合も極端に下がる。秋田の30年後は、65歳以上の高齢化率が05年比で14.1ポイントアップの41.0%で全国最高、逆に生産年齢人口比は10.3ポイント低下し、最下位の50.3%。全国で最もいびつな人口ピラミッドの中で、年金など社会保障制度や行政サービスの在りようも抜本的に見直さなければ成り立たなくなる。

 秋田県では将来人口を独自に推計しており、今回の研究所の推計については「想定内」ととらえている。雇用の創出と子育て支援を柱とした少子化対策に力を入れれば、ある程度歯止めがかかると見込んでいるが、人、モノ、カネを吸い込む大都市圏にどこまで対抗できるのか、不安は尽きない。

 だが、地方に打開策は本当にないだろうか。この際、開き直る発想もある。戸建ての住宅を十分供給できる、交通渋滞がまったくない、すぐそばに豊かな自然がある―などを売りに、大都市にはない「魅力」に磨きを掛けるのも手だ。

 通勤地獄に耐え、日本の高度成長を支えた団塊世代の大量退職が始まっている。都会の生活では味わえない刺激的なライフスタイルを提唱できれば、新しい人口移動の流れもできると信じたい。国や自治体もさまざまな社会実験を誘導し、支援していくときだ。

2007年06月06日水曜日
by miya-neta | 2007-06-06 09:26 | 経 済