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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

自衛隊の内部文書/自由の国で気味が悪い

河北新報 コルネット 社説


 なんとも薄気味悪く、背筋がぞっとした。今時こんなことが、組織的に、日常的に行われていたのか。

 陸上自衛隊が、自衛隊の活動に批判的な市民団体のほか、政党、労組、ジャーナリスト、宗教団体などの動向をまとめた「内部文書」の存在が判明した。共産党が自衛隊関係者から入手したとして公表し、防衛省が資料作成について認めた。

 文書はA4判、166ページで、(1)陸自東北方面情報保全隊が収集した「情報資料」(2004年1―2月)(2)情報保全隊本部が作成した「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」(03年11月―04年2月)の2種類ある。

 文書には、自衛隊の活動に反対するデモや集会、ビラ配りについて、日時や場所、団体名、個人名、内容などを記載。写真も添付されていた。派遣反対の集会やデモの関連だけで全国41都道府県の289団体・個人に上り、高校生も含まれている。

 さらに、国会議員の発言、新聞記者の取材活動や、派遣反対運動とはおよそ関係がないとみられる年金制度や消費税に関する集会なども記録されていた。

 情報収集は、イラク派遣の基本計画閣議決定を控えた直前から、陸上自衛隊本隊の主力部隊がイラク・サマワに到着した時期に当たる。イラク派遣について、国内で賛否が渦巻き、反対運動も高まっており、自衛隊が神経質になっていたことは間違いない。

 情報保全隊の任務は自衛隊施行令に基づく各自衛隊の訓令で規定されており、隊員と外部の不審者との接触などを監視。自衛隊施設に対する襲撃や業務の妨害などを防ぐための情報収集も含まれるが、民間の情報収集対象については、極めて限定されている。

 政府は「法律をもとにした調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」(塩崎恭久官房長官)と、今回の自衛隊の対応について、許容範囲との認識を示しているが、果たしてそうだろうか。

 多様な議論や主張を認めず、一方的に敵と決めつけ、多数の市民を監視するのは、常軌を逸しているとしか思えない。何かしらざわっとするし、憤りも覚える。

 個々人の行動や正常な職業活動が、本人が知らぬ間に、権力からチェックを受けるとすれば、プレッシャーを感じ、息苦しい社会になる。

 言論、集会、結社の自由が保障され、個人のプライバシーが守られることが、自由、民主主義の根幹であることは確認しておきたい。

 防衛省は、自衛隊の内部文書を明らかにし、調査の意図や方法などについて説明する必要があろう。

 自衛隊は、国内はもとより海外での大規模災害救助活動などで実績を積み上げ、信頼を勝ち得てきた。国土の防衛を担ってもらうことについても、国民の間でほぼ合意に達している。
 市民の監視は、国民の信頼に水を差し、道を逆行しているのではないか。

2007年06月08日金曜日
by miya-neta | 2007-06-08 09:02 | 政 治