【社説】教育問題 実情踏まえた論議を
2007年 07月 26日
2007年7月26日
参院選で各党とも教育問題を重要課題に掲げているが、論争は高まっていない。各党、各候補者の取り組み方は投票の際の重要な基準だ。教育に対するそれぞれの主張にじっくり耳を傾けたい。
安倍晋三首相は政権の主要課題に憲法改正と並んで教育改革を挙げ、教育基本法や教育関連三法の改正を成し遂げた。自民党は参院選での公約に「教員免許更新制や不適格教員を教壇に立たせないシステムの円滑実施」などを掲げている。
民主党もマニフェストで「教育への財政支出五割増を目指す」とし「公立学校は保護者、地域住民、学校関係者などが参画する『学校理事会』が運営」とうたう。
教育関連三法改正では教員免許の更新制が導入され、教育委員会への国の関与を可能にすることが盛り込まれた。ことしは全国学力テストも復活した。教育を取り巻く環境は大きく変化している。
自民党は「幼児教育の無償化を目指す」とし、民主党は「公立高校の授業料などを無料」といい、社民党も「高等教育の無償化を目指す」とする。子育てまで広げると、児童手当を公明党は「対象を中学三年まで引き上げる」、共産党は「小学六年まで月一万円に倍増し、十八歳まで支給を目指す」と訴えている。
無償化や手当拡充は聞こえがいいが、財政的裏付けが必要となる。費用がどれだけで、どうやって工面するのか、各党の公約やマニフェストからは読み取りにくい。
有権者が聞きたいのは現場の実情を踏まえた議論だ。いじめはなくならず、学校に理不尽な要求や抗議をする親「モンスターペアレント」が増えている。学校や先生任せにしておいていい問題ではない。
学力問題の関心も高い。自民党は「『確かな学力』を約束」といい、教育再生会議は「授業時間の10%増と土曜授業の復活」を提言した。ゆとり教育の転換を明確に打ち出している。時間増で学力向上となるのか、もっと議論が必要だ。公明党は「小学校で英語教育を必修化。中学卒業段階で日常英会話ができるようにする」という。期待させる公約だが、可能か。
安倍政権の進める教育政策の特徴は競争原理の導入と言える。東京都足立区独自の学力テストでは学校側の不正行為が発覚した。教育への競争原理導入の是非は候補者が大いに語らなければならないテーマだ。
有権者は各党、各候補者の主張をじっくり聞き分け、投票に行きたい。そして、選挙後の取り組み方も見守っていかなくてはならない。
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