「教師のしっ責」ゼロ、児童生徒遺族が自殺統計見直し要望
2007年 08月 11日
文部科学省が毎年実施している児童生徒の自殺調査に関し、自殺の主な原因の項目として設けられている「教師のしっ責」が長期間ゼロになっていることには疑問があるとして、自殺した児童生徒の遺族らで作る「全国学校事故・事件を語る会」は10日、文部科学省に統計の見直しを求める申し入れを行った。
遺族らは「教師に追いつめられて命を絶つ子供もいるのに、調査からは実態がわからず何の対策も取られていない」と話している。
文科省の調査は、主な原因を「いじめ」「家庭不和」「学業不振」「教師のしっ責」などから一つを選ぶ方法で行われてきた。
文科省によると、1996~2005年度の10年間、「教師のしっ責」はゼロだったが、同会は、「教師のしっ責」が原因と考えられる自殺が少なくとも5件あると主張している。
このうち、04年5月に飛び降り自殺した埼玉県内の高校3年の男子生徒(当時17歳)は、カンニングを疑われ、教師5人から2時間近く事情を聞かれた当日に自殺したが、県教委は「自殺との因果関係は不明」とし、主な原因を「その他」にしていた。遺族は「自殺は執拗(しつよう)な事情聴取が原因」として県に損害賠償を求めて提訴している。
(2007年8月11日0時57分 読売新聞)