大阪・ミナミのロケット広場を撤去へ 「思い出」を掲示
2007年 08月 11日
2007年08月11日08時10分
初めてのデート、旧友との再会、切ない別れ……。大阪・ミナミで約30年間、さまざまな人生が交錯してきた名物スポットがもうすぐ消える。南海なんば駅そばの「ロケット広場」。インターネット上などで撤去を惜しむ声が上がる中、南海電鉄グループが広場にまつわる「思い出」を募っている。寄せられた中から十数点を選び、撤去工事のフェンスに掲示するという。

広場のロケット(全長33メートル、ステンレス製)は78年に設置された。日本初の実用衛星「N1ロケット」のレプリカで、設計は宇宙開発事業団(当時)が監修。当時、南海電鉄社員だった小川洋(ひろし)さん(58)=現南海都市創造常務=は「21世紀への期待感が込められていた」と振り返る。
広場にロケットという意外な組み合わせに加えて、地下鉄や近鉄、JRの各駅にも近いという利便性から、恋人や友人との待ち合わせ場所として定着した。
だが、ポケベルや携帯電話の普及で利用者が徐々に減少。同駅に隣接する商業施設「なんばCITY」のテナントなどから「ロケットは役割を終えた」との声が出始めた。南海側は今年5月、ロケットを撤去したうえで、09年秋に広場を「ウェルカムロビー(仮称)」として全面改装することを発表した。
この直後からネット上で「保存してほしい」などの声が上がるようになったが、計画を白紙に戻すわけにはいかない南海側はひそかに引き取り手が見つかることを願っていた。結局、名乗りを上げる個人や団体はなく、広場にまつわる「思い出」をホームページに寄せてもらうことにした。
10~24日の撤去工事期間中に「思い出」を選び、フェンスに掲げる。ロケットは広場で6分割され、金属ごみとして処分されるという。