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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

不登校対策*子どもをよく見つめて

社説 北海道新聞


2007年8月11日

 不登校の小中学生が、五年ぶりに増加に転じたことが、文部科学省の二○○六年度全国学校基本調査で明らかになった。

 中学校では生徒の3%近くに上り、一九九一年に統計を取り始めて以来で最大だ。クラスにほぼ一人の割合でいることになる。

 原因は「本人の極度の不安や緊張、無気力」「友人関係」が上位を占め、「学業不振」「親子関係」と続く。

 学校や家庭、友人関係をめぐる要因が複雑に重なって、不登校が起こっているといえるだろう。

 不登校問題を、教師や親の責任として片付けることはできまい。不登校の原因も千差万別だ。こうした子どもの実態をしっかりとらえ、学校、家庭、教育委員会が協力して、きめ細かな対策を取ることが必要だ。

 これまでの学校側の不登校対策は、教師が家庭訪問を重ね、子どもに登校を促すことが基本だった。しかし、教師側の個別の指導には限界がある。

 教師が子どもに十分に目配りできるようにするためには、少人数教育の実現が必要だ。文科省は、複数の教員がチームで指導する態勢の整備にも取り組んでほしい。

 親や教師との関係、家庭の事情などをめぐって悩み、不登校になることもある。子どもの精神面での成長を支援するカウンセラーの養成と、学校への配置の拡充も必要だろう。

 注意欠陥多動性障害(ADHD)などの子どもたちが増えているという専門家の報告もある。医療関係者の支援も欠かせない。

 見逃せないのは、不登校になった小中学生の3・2%が、「いじめ」が原因だったことだ。

 最近は電子メールを使うなどして、学校を休んでもいじめを受けるケースがある。いじめる側といじめられる側が複雑に入れ替わり、教師が気付かないこともある。

 表面化していないいじめもあるのではないか。文科省は、調査の結果を詳細に分析し、必要に応じて子どもへの支援策を取るべきだろう。

 道教委によると、道内では中学校に進学した後に不登校になるケースが多い。新しい友達とのコミュニケーションづくりでつまずく子どももいる。

 小中の教師が連携して、一人の子どもを継続的に指導するなどの工夫があってもいい。

 一部の保護者からは、「いじめられるくらいなら、学校に行かなくてもいい」という意見が出ている。

 フリースクールの関係者からは「子どもの居場所は学校だけではない」との声もあり、不登校問題は深刻だ。

 小中学校は、子どもの成長をはぐくむ貴重な場である。子どもの学ぶ権利を守るため、不登校対策は社会全体で取り組む課題だと考えたい。
by miya-neta | 2007-08-11 09:06 | 教 育