月探査衛星「かぐや」 打ち上げ成功
2007年 09月 14日
2007年9月14日 夕刊
月探査衛星「かぐや」を載せ、種子島宇宙センターから発射されるH2Aロケット13号機=14日午前、鹿児島県種子島上空で、本社機「おおたか二世」から(長塚律撮影)
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は十四日午前十時三十一分、月周回衛星「セレーネ(愛称かぐや)」を載せた日本の主力ロケット「H2A」13号機を、同機構種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。
ロケットは発射から約四十五分後に予定通り、かぐやを分離し、打ち上げは成功した。H2Aは6号機の失敗後、七機連続の成功だ。
今回の打ち上げはH2Aロケットの技術が三菱重工業に移管され、初めて同社が中心となって行った“民営化1号機”。同社は今回の成功を受けて商業衛星市場での受注に力を入れる。
天候が心配されたが、この日の種子島地方は晴れ。午前十時三十一分一秒、第一段の主エンジン「LE7A」に点火。白煙を出しながら、高度を上げていった。
H2A13号機の打ち上げは当初、八月中旬の予定だったが、七月にかぐやの電子部品にプラス側とマイナス側を逆に取り付けてあるのが見つかり、交換作業などのために約一カ月遅れた。
かぐやは日本にとって初の本格的な月探査機で、月の起源や進化のなぞを解明するのが主な目的だ。米国や中国、インドが月探査を計画し、米国が将来の有人基地構想を掲げるなど、世界的にも月に注目が集まる中、かぐやの成果に期待がかかる。
順調にいけば、約三週間後に月周回軌道に投入され、約三カ月後に観測が始まるという。
<メモ>セレーネ(かぐや) 縦、横それぞれ2・1メートル、高さ4・8メートルの主衛星と2機の子衛星で構成。重さは計約3トン。主衛星は高度約100キロで月を周回する。14種類のセンサーを搭載し、元素や鉱物分布、地形、重力などを詳しく観測。月の起源や進化の解明を目指すほか、観測データは将来の月面活動の検討にも活用する。日本の月探査は1990年のひてん以来2機目だが、機能が限られており、本格的な探査機は初めて。