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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

社説:大阪市長選 改革の加速こそが使命だ

毎日jp(毎日新聞)


 大阪市長に、元民放アナウンサーの平松邦夫氏が現職の関淳一氏らを破って初当選した。市役所外からの市長就任は戦後初ということに、まず驚く。

 大阪市では代々、助役経験者が市政を引き継ぐ形で市長に就いてきた。加えて、共産以外の「オール与党体制」が44年間も続き、市長選は事実上の信任投票となっていた。

 今回は、自民・公明、民主・国民新、共産の各党推薦と無所属の有力候補が立った。投票率が前回より10ポイント近くも上がったのは、こうした選挙構図に市民の関心が高まった表れと言えよう。しかし、職員厚遇問題や同和行政の甘さ、深刻な財政危機など、大阪市が抱える構造的な課題について、十分な政策の吟味と選択が行われたかは疑問だ。

 関氏は昨年2月、「市政改革マニフェスト」を策定し、職員の大幅削減や同和施策の見直しなどに取り組んできた。

 選挙結果は、助役出身で72歳の関氏より平松氏の清新なイメージが、変化を求める市民に受け入れられたと見ていい。自民が地方組織の地力低下で支持層を固め切れなかったのも響いた。関氏が進めた改革で市民サービスが低下した側面もあった。しかし、改革の基本的な方向は間違いではない。

 一方、平松氏は、本人も「時間がなかった」と認めるように、公約に具体性を欠いていた。繰り返し訴えたのは、話し合いと情報公開だ。市民の市政への関心を引き寄せるには有効だろうが、それだけで市政が運営できると考えているなら甘すぎる。

 市議会は、過半数を占める自民・公明が野党に回る。市民や市職員の痛みを伴い、既得権益擁護に走る抵抗勢力の壁を越えて行財政改革を進めるためには、強いリーダーシップが欠かせない。

 また、財政を圧迫してきた全国一高い生活保護率や職員数の多さ、大阪ワールドトレードセンターなど第三セクターの2次破綻(はたん)の恐れなど、直面する課題はいずれも早急な対応が求められる。平松氏に与えられた時間は多くない。

 改革を加速するのが、新市長の最大の使命だ。変化への期待を現実のものにし、市民に改革の成果を具体的に示せないと、市民の支持が急速に離れていくことを、平松氏は強く自戒すべきだろう。

 選挙戦では、各党幹部が相次いで大阪入りして支持を訴えた。福田政権発足後、初の政令指定都市の首長選で、自民、民主双方ともに負けられない選挙となった。

 それだけに、平松氏を推薦した民主は、小沢一郎代表の進退をめぐる混乱からの立ち直りの手がかりをつかみ、関氏を推薦した自民にとっては手痛い一敗となった。金城湯池としてきた大阪で敗れた公明もショックは大きいだろう。 地方選とはいえ、政令市では横浜に次ぐ人口を抱える大阪市の市長選だけに、次期総選挙の先行指標と受け取れよう。「ねじれ国会」の打開策を探りながらも、衆院解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防は激しさを増しそうだ。

毎日新聞 2007年11月20日 0時38分
by miya-neta | 2007-11-20 00:38 | 政 治