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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

高校の学習環境に不満 : 進学・進路 : 教育相談

教育Q&A : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


質問 岡山県 男性

 私立男子高に通っている高校1年です。今春の受験で県立高校に落ちてしまい、滑り止めで受けた高校に通っています。入りたかった県立高より偏差値や進学実績は低いですが、僕には「将来、大手の自動車メーカーで開発がしたい」という夢があります。そのために少しでも多く勉強をし、少しでもいい成績をとろうと頑張っています。しかし現在、僕の学校では授業崩壊が黙認されています。怒らない教師の授業では立ち歩く、大声でしゃべる、携帯ゲーム機で通信対戦をする、など。担任に相談をしましたが、クラスの生徒たちは担任を怖がっており、担任の授業はまじめに受けるため「そんなことはない、お前の勘違いだ」と言われました。そこで、母に授業環境を改善するよう電話をしてもらいました。すると、僕が欠席をした日、担任や学年主任が「嫌なら辞めればいい」と、各クラスの授業で言いふらす有様です。まじめに勉強をしたい者ほど苦しむ環境にあるのです。高い授業料を納めているのですから、最低限の授業環境を提供することは当然だと思うのですが。転校も検討しましたが、偏差値が今の学校より低いところにしか転校はできない、転居などの理由がないと認められにくいなど、さまざまな問題があり難しそうです。僕はどうすればいいのでしょうか。


回答 大阪学院大学助教授 加茂 英司

 相談内容を見る限り、学校の教育方針や授業崩壊の悩みに見えますが、それは表面的な悩みだと私は読みました。というのも、「怒らない教師の授業では立ち歩く、大声でしゃべる、携帯ゲーム機で通信対戦」という授業崩壊は、多かれ少なかれ、どこの高校でも見られるからです。一方で、「クラスの生徒は担任を恐がっており」と一定の歯止めがかかっているわけですから、きわめて普通の高校と言ってもいいでしょう。

 もちろん相談者を含めて全国のまじめで優秀な高校生にとっては、現在の高校が抱える問題は憂慮すべき環境ですが、それでも担任の先生との間に信頼関係があり、さらに親しい友人がいれば、それなりにみなさん楽しく高校生活を送っているようです。授業崩壊は全国的な現象ですが、退学うんぬんという話にまでに発展するケースが決して多くないのは、友人が救ってくれるからでしょう。したがって相談者の本当の悩みは担任の先生も信じられない、親しい友人もいない。つまり孤独に悩んでいると私は読みましたが、深読みし過ぎでしょうか。

 実際、人間関係でつまずいた高校生が頼る方法に通信制高校があります。通信制高校といっても、すべてを通信制で行う方法から、ほとんど通学制に近い状態で近隣のキャンパスに通学し、クラブ活動まで行う高校もあります。その中でも大手のクラーク記念国際高等学校は全国にキャンパスを用意して、通学方法も、週1日から毎日通う方法まで選択できるようです。岡山にもキャンパスがありますので、相談者も通学が可能です。同様の通信制高校が全国に存在し、転校したい高校生を積極的に受け入れているようです。文面の限りでは今の高校に通っていても道は開けないようですから、こうした新しいタイプの通信制高校へ転校をしてはどうでしょうか。

 その他にも通信制高校とサポート校との併用、あるいは大検を受けて大学へ進学する方法も、決して珍しい方法ではありません。高校から大学への道はこのように多様になっていますから、勉強したい気持ちがあるのなら道は必ず開けます。がんばって、目指す大学に入ってください。

回答者略歴かも・えいじ 松下電器産業国際部門、神戸大非常勤講師などを経て、現職。社会人として大学院で学んだ経験を生かし、社会人の進学相談や留学相談も。マーケティングの研究に携わりながら教育、ボランティアなどについて執筆、講演活動に取り組む。主な著書に「社会人大学院入学・活用ガイド」(日本実業出版社)。

(2007年11月23日 読売新聞)
by miya-neta | 2007-11-23 08:30 | 教 育