沖縄タイムス 11/25 「まるで戦争のようです」。
2007年 11月 25日
(2007年11月25日 朝刊 1面)
「まるで戦争のようです」。九月に本紙ワラビーに掲載された投稿文にはそうあった。
いじめの対象となった子の机には「死ね」「消えろ」の文字。悪ふざけで机を囲み、手を合わせるその先には花が飾られていた。その子が戻ると一斉に去っていく。その様子を見ていた那覇市の中一の投稿者は、どうすべきか悩んだ。
対象者は心身に深い傷を負い、孤立へと追い込まれる。最悪の場合、「死」を選択してしまうこともある。葛藤を伝えてくれた投稿者には毅然とした態度で「やめろ」と、声に出してほしいが…。簡単なことではないことも確かだ。
いじめを止めようとした者に矛先が向けられるケースも多い。そのことを知っているから、持っているはずの勇気も出せないでいる。正義を正義として通せない。いじめの修羅場を分かっているだけに押し黙ってしまうのだろう。
投稿を受けて、那覇市教委が教員アンケートを実施した。回答した四百五十七人のうち五人が投稿内容に心当たりがあるとした一方で、小学校を含む教頭への調査では全員が「うちの学校ではない」とした。現場も万全ではない。
NPOの矢内筆勝代表は過日、那覇市であったシンポジウムで「いじめは犯罪で、人権侵害である」と指摘した。投稿者は単なる傍観者ではない。現在も対応に苦悶しているはずだ。すぐに解決策は見出せないが、学校全体で思いを受け止め、共に格闘してほしい。(崎浜秀也)