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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

教員定数増 子どもの学力向上につなげたい

社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 教員が子どもとじっくり向き合い、学力向上などに力を注げるようにするには、やはり増員が必要だ。

 2008年度の政府予算案で教員の定数増が認められた。純増は1000人だが、非常勤講師を7000人採用する。教員OBらが中心で、正規の教員の半分程度の授業を受け持つとみられる。教員の事務負担を軽くするための事務職員の増員は見送られた。

 文部科学省が、小中学校の教員数を増やそうとしているのは、最近、「多忙な先生」が増えているためだ。

 06年度、40年ぶりに実施した勤務実態調査によれば、教員は毎日11時間近く働いている。だが、授業も含め子どもと直接かかわるのは6時間半から7時間。残りは、研修や会議、報告書の作成、保護者への対応などに費やされている。

 中央教育審議会も、先の答申の中で、教職員の定数増に何度も言及した。

 例えば、教員が「一人一人の子どもたちにきめ細かな指導」を行っていくためには、教職員定数の改善が「喫緊の課題」と強調している。

 答申は、「ゆとり教育」から脱却し、小中学校の主要教科の授業時間を1割以上増やすことを掲げた。特に、国際学力調査などで学力低下が浮き彫りになった理数系に力を入れるよう求めている。

 こうした答申を具体化していくためにも、教員の数を増やし、指導体制を整備する必要があるということだろう。

 文科省は、08年度から3年間で教員と事務職員を合わせた約2万1000人の定数増を目指し、今回は、そのうち7000人の増員を要求していた。

 だが、公務員削減などを定めた行政改革推進法では、公立学校の教職員も、児童・生徒の減少を上回る割合で人数を減らすことになっている。「骨太の方針2006」では、5年間で1万人程度の削減を求めている。

 公立小中学校の児童・生徒は、07年度の1034万人から11年度には1010万人に減る見通しだ。09年度以降、簡単に増員が認められる見通しはない。

 子どもの教育を担う教員の定数は、「行革」の観点だけで論じるわけにはいかない。ただ、文科省は、教員の勤務状況などについて十分把握してこなかった。増員を求める以上、より説得力あるデータをそろえなければならない。

 せっかく認められた定数増や非常勤講師の採用である。教員が子どもと接する時間は増えたのか、理数系の応用力向上など学力面でどれだけプラスになったのか。文科省は、こうした事後検証もしっかり進めるべきだ。

(2008年1月21日1時15分 読売新聞)
by miya-neta | 2008-01-21 18:13 | 教 育