公・私の戦い、近畿の中学入試スタート
2008年 01月 19日
近畿の私立中学の入学試験が19日、一斉に始まった。小学生の受験熱は相変わらず高く、今年も昨年と同様に9人に1人程度が受験するとみられる。一方、近年増加している公立の中高一貫校も関心を集め、新設の一貫校である大阪市立咲くやこの花中学(此花区)の志願倍率は15倍に近い。少子化が進むなか、中学入試の受験生争奪戦は〈私立対公立〉の様相も見せ始めた。
試験開始を待つ受験生たち(19日午前8時57分、大阪市城東区で)=浜井孝幸撮影■一斉解禁
近畿2府4県の私立中学は、2006年度から入試の統一解禁日を設定している。受験生を分散させて共存共栄を図るためだ。
19日は計143校中、122校が入試を行った。
大手進学塾の日能研関西本部によると、07年度、京阪神の小学6年生約16万2850人のうち、11・4%の約1万8620人が私立を受験した。受験率はここ数年増え続けており、08年度も微増しそうという。
ただ受験生の数が減り、志願倍率は低下気味だ。
各府県の私立中学校高校連合会によると、大阪が07年度の1・7倍から1・6倍へ、京都が3・2倍から2・9倍へと下がった。兵庫は募集定員を減らしたこともあり、2・7倍から2・9倍となった。最大の要因は少子化だが、公立中高一貫校の影響を指摘する声もある。「私学志願者の一部が流れた」(私学関係者)というわけだ。
■公立の逆襲
中学受験熱の背景には学力低下問題に端を発した公立校への不信があった。公立中高一貫校には、こうした評判を一掃する役割も期待されている。
今年4月、開校する咲くやこの花中学には、昨秋の学校説明会に約4500人が詰めかけた。入試は今月26、27日。定員80人に対し1191人が出願し、14・9倍の狭き門だ。
近畿では公立中高一貫校は03年以来、徐々に増え、08年4月で14校となる。私立に比べ割安な授業料と、一般の公立中学よりもカリキュラムが充実していることへの期待感があるとみられ、08年度も8倍となる京都市立西京高付属中学(中京区)のように、倍率が5倍を超える学校も多い。
中高一貫教育は多くの私学で受験生側に対する最大のアピールポイントだったが、公立がくさびを打ち込んだ形で、私学関係者からは「私立同士の競争が厳しいのに公立に参入されると経営はさらに苦しくなる」と悲鳴に近い声も漏れる。
■「中高大」一貫
防戦に回った私立中学側が力を注ぐのは、大学との連携だ。昨春から大学付属の中高一貫校となった京都産業大付属(旧京都成安、京都市上京区)も06年度の0・7倍から07年度は10・5倍に大幅アップ、08年度も8・1倍だ。
08年度から立命館大と提携し、入試なしで進学できるコースを新設する育英西中学(奈良市)も学校説明会の参加者が倍増。昆布孝子校長は「大学との提携は、厳しい受験を何度もさせたくない保護者にアピールできる」と強調。昨春から関西学院大と提携し、「関学コース」を設けた帝塚山学院中学(大阪市住吉区)も多くの志願者を集めた。
日能研関西本部は「公立一貫校は従来、中学受験に関心がなかった層も引きつけている。首都圏の塾では公立一貫校に特化した講座が開かれている。関西でも公立と私立の競争がさらに激化するだろう」と話す。
■公立中高一貫校
1999年の学校教育法の改正に伴い、設置が認められた。初年度の同年4月は全国で2校だけだったが、少子化の中、魅力ある学校づくりを目指して開設が相次ぎ、07年度は72校に増えた。私立と国立を含めると179校にのぼる。
(2008年1月19日 読売新聞)
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