「夜スペ」他教委から評価の声も… 地方はどうする?
2008年 01月 26日
2008.1.26 20:11
賛否のなかで26日スタートした進学塾講師による東京都杉並区立和田中学校の「夜スペシャル(夜スペ)」。塾のない地方はどうするのか。教員や教育委員会関係者からは保護者からの要求の多様化や地方と都市部の意識の差を指摘する声もある。
東京都の公立中学では港区が平成17年度から、大手進学塾に委託する土曜補習を開始、教材費以外は無料で7割が参加する。江東区も昨年度から正規授業に塾講師を招いた。私立校に対抗する狙いもありそうだ。
対照的に青森県東通村や福島県川内村では「村内に塾がない」という理由で公営塾を開設。農村部の塾は学校の授業の復習といった色合いが強い。大手進学塾がなく、塾と無縁な地域も多い。
山口県柳井市立大畠中学校の三好祐司教諭は「(公立志望が多いから)親から『学校に塾を導入してくれ』などという要求はでない。特に都会では保護者の要求が多様化、要求レベルは高い。地方との意識の差を感じる。自分の学校で行われたら、塾の先生と対立するのでなく情報交換をしてよりよい指導をしたい」という。
また埼玉県教育委員長で明星大教授の高橋史朗氏は「(都教委が指摘した)(1)費用の負担(2)学校主催(3)教員が教材づくりを手伝う-の3点の問題さえなければ、学校の壁を破る新しい試みだ。学校の閉鎖的体質を改めるいい機会で、保護者と連携して子供のために何をすべきかを優先すべきだ」と話す。
反対もある。東京都品川区教育委員長の細川珠生さんは「学力向上は学校の大きな目的のひとつ。それを放棄するのは学校の権威を下げる。恒常的に塾に頼るのは教員の力を伸ばすことにならない」と指摘する。
すでに塾講師と連携している東京都江東区の小山正見・八名川小学校校長は「かつては両親が教えたりして予復習の習慣があったが、共働きが増え、家庭での学習習慣が身に付けづらい状況。社会総がかりの教育が大切といわれるなか、外部の民間活力を導入するのは良いことではないか」という。