「第一歩」「生徒を分断」 公立中の有料授業に賛否
2008年 01月 26日
2008.1.26 09:55
東京都教育委員会から一時“待った”が掛かるなどの曲折を経た東京都杉並区立和田中学校の有料特別授業。公立学校と進学塾の新たな連携に識者らの意見も分かれている。
塾講師を公立中学校に派遣した経験がある教育コンサルタントの森上展安さんは「公立校は制約が多い」と現状を批判した上で「(地域の)実情に合わせて民間を活用するのは面白い。公立校の可能性を広げる第一歩だ」と評価。
運営主体の「地域本部」に対しては、今回の受験対策だけでなく、科学への興味を持たせる特殊実験や、学習障害のある子どもへの対応などを例示して「能力差や格差を縮める方向で、教育ニーズに合わせた活動を広げてほしい」と期待した。
国際基督教大の藤田英典教授(教育社会学)は「一部の“できる”生徒を対象にするのは、参加できなかった生徒や保護者に不満を残し、彼らを分断する行為だ」と指摘する。
その上で「教職員や保護者に批判があるのに、校長が独断で決めた。校長の裁量権の暴走だ」と憤り、「結局は塾の出張授業。私企業の営利活動に公立校が加担した」と強い反対姿勢を示している。