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「二条河原落書」のネタ帳


by miya-neta

教育再生会議 提言の実現度の点検が大事だ

社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


 政府の教育再生会議の最終報告は、過去3回の報告内容が確実に実行されるかどうか厳しく点検するよう求め、そのためのチェックリストを示した。

 提言は実現されてこそ意味がある。しっかり点検する必要がある。

 政府は月内にも点検にあたる組織を発足させる。問題は新組織にどんな権限を持たせ、何を基準に達成度を測っていくかだ。遅れている点は作業の促進を求める権限も、持たせるべきではないか。

 リストは、多岐にわたる提言を反映し、学力や教員の質の向上など6分野で36項目に及ぶ。しかし、進捗(しんちょく)状況を具体的にどうチェックしていくのかが定かではない。検討を急ぐべき課題だ。

 教育再生会議は2006年10月、安倍前首相の下で発足し、学力と規範意識の向上を掲げた。数々の提言も、この目的を達成するためのものだ。

 理数系の応用力や国語の読解力など学力向上につながったか。全国学力テストや国際学力調査などの結果に反映させることができたかどうか――。点検で重視すべきは、こうした点だ。

 規範意識の向上は成果を測りにくい。だが、いじめや少年犯罪の件数が減ったかどうかなども、目安になるだろう。

 教育再生会議は、政府の有識者会議としていち早く「脱ゆとり教育」を打ち出し、教員免許の更新制をはじめ、学校教育法など教育3法の迅速な改正も後押ししてきた。ただ、提言が網羅的でつながりを欠く、掘り下げ方が足りない、などの批判もあった。

 中央教育審議会の答申との食い違いもある。例えば道徳教育では、教育再生会議が「徳育」として教科にするよう提言したが、中教審は教科化を見送った。

 教育再生会議の提言を点検する際、新組織の位置づけを明確にしないと文教政策が混乱することになりかねない。

 人選も重要だ。点検作業は教育現場を知らないと難しい。メンバーは民間の有識者を中心に数人程度で構成する方向で検討が進められているが、学力向上や家庭・地域との連携で実績のある教師を加えた方が、効果的なのではないか。

 福田首相は先の施政方針演説で、「明日の日本を担う若者を育てる環境を整えることは大人の責任だ」と教育再生に取り組む考えを明らかにした。教育再生会議の最終報告の場では、「成果を十分生かしていくよう、提言の実現、フォローアップをしていきたい」と述べた。

 福田首相は、教育改革を重要課題に掲げた安倍前首相に比べ、教育に関しては発言が少なく、姿勢が見えにくい。ぜひ指導力を発揮してほしい。

(2008年2月2日01時46分 読売新聞)

東京本社発行の最終版から掲載しています。
by miya-neta | 2008-02-02 01:46 | 教 育