硬軟自在の声優・広川太一郎さん逝く
2008年 03月 09日
スパイ映画「007」シリーズの英俳優ロジャー・ムーア(80)の吹き替えなどで知られる声優の広川太一郎(ひろかわ・たいちろう)氏が3日、がんのため東京都渋谷区の病院で死去した。68歳。東京都出身。葬儀は近親者らで済ませた。
先月末に英コメディー番組「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」のDVD版(5月21日発売)のナレーションを収録したのが最後の仕事。関係者によると体調が思わしくないにもかかわらず、最後まで声優への情熱を貫いた。
1963年、大学卒業と同時にフリーとして洋画や海外ドラマの声優として活動。「007」の3代目ジェームズ・ボンドとして「-黄金銃を持つ男」「-私を愛したスパイ」などに出演したムーアや、米俳優トニー・カーティス(82)ロバート・レッドフォード(71)の吹き替えを担当した。その一方で、ひょうきんなキャラクターも得意とし、香港映画「Mr.BOO!」シリーズのマイケル・ホイ(65)や、「モンティ・パイソン」シリーズも手掛けた。
アニメ作品では「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの古代守、「ムーミン」のスノークとして人気を博した。また、テレビ番組の司会やラジオ関東「ハローヤング」のディスクジョッキーとして活動の幅を広げ「なんともはや」「…しちゃったりなんかして」といった独特の言い回しで親しまれた。
◆広川 太一郎(ひろかわ・たいちろう)1940年(昭15)2月15日、東京都生まれ。63年、日大芸術学部演劇学科卒業後、フリー。69年、松竹に入り「男はつらいよ」などに出演。間もなく退社し、声優の仕事に主力を置く。
スポーツニッポン 2008年3月9日