学校裏サイト ネットいじめをなくすには
2008年 03月 16日
インターネットによるいじめをなくすには、子どもが携帯電話やパソコンをどう使っているのか、実態をまず把握する必要がある。
学校の公式ホームページとは別に、在校生らが作る「学校裏サイト」について、文部科学省が初めて調査した内容を中間報告した。総務省など他官庁や民間団体、識者とも連携し、集計・分析と対策を急がなくてはならない。
集計がまとまった39都道府県では約3万8000の学校裏サイトがあった。中には、「キモイ(気持ち悪い)」「学校来るな」などと、特定の児童・生徒を攻撃するものもあった。
学校裏サイトは、民間団体の推計では30万以上とも言われる。最近は、携帯電話でないと接続できないものも増えているという。
学校裏サイトでの「ネットいじめ」は、ネットの匿名性と相まって、拡大、深刻化しやすい。相談に乗ってくれていた“親友”が、実は中傷を書き込んだ本人だったという例もある。
携帯電話各社は2月から、未成年者が購入する際、親が拒まなければ、有害情報への接続を規制するフィルタリングサービスを付けることにした。
子どもを被害者にも加害者にもしないためには、とりわけ親の役割が大きい。
おもしろ半分の行為も、匿名の世界ではすぐにエスカレートし、時には、相手を不登校や転校、自殺に追い込みかねない危険性をきちんと教えなくてはならない。
子どもにおもねらず、年齢に応じて使用時間などを制限したり、フィルタリングサービスを利用させたりすることも大切だ。
いじめられている子どもには、頻繁にチェックしていたメールを見なくなるなど異変が現れる。それを見逃さないようにするには、普段からの会話が大事だ。
日本PTA全国協議会の調査では、携帯電話の使用について親子で「よく話す」「時々」と答えたのは、小学5年では親8割、子ども6割、中学2年では親9割、子どもはその半分だった。
相互の認識の違いを埋める努力が、親には求められる。
教師も異変に気づける機会は多い。生徒らへのアンケートが、ネットいじめの発覚の端緒になることもある。道徳の授業などで、生徒らに何が問題かを考えさせ、理解させることも必要だろう。
問題のある書き込みの見つけ方や対処法など、ネットの知識や技術も身につけたい。
(2008年3月16日01時23分 読売新聞)