首相修正提案 民主党も大胆に妥協せよ
2008年 03月 28日
福田首相が、年度末のぎりぎりになって、膠着(こうちゃく)状態の続く与野党対立の打開へ動いた。
首相は、緊急記者会見し、暫定税率を維持する租税特別措置法改正案など道路関連法案の修正内容を発表した。
自らの考えを直接、国民に説明し、局面の転換を図る。首相が、修正案を示すという異例の行動に出たのは、そんな政治意思を明確にしたかったからだろう。
首相の提案は、2009年度から道路特定財源制度は廃止し、一般財源化する。10年間で59兆円をつぎ込むとしていた道路整備中期計画は、5年間に短縮して、新たに策定し直す――。先に与党がまとめた修正方針から大きく踏み込んでいる。
首相が記者会見で強調したように、租税特別措置の期限切れによって、国民生活や地方財政に無用の混乱を起こしてはなるまい。
民主党は、この首相の提案を真摯(しんし)に受け止め、修正協議に入り、早急に合意を図るべきだ。
首相は、一般財源化後の使途のあり方や道路計画の見直しなどを話し合う与野党協議会の設置も提唱した。
修正内容で合意するため、民主党の小沢代表との党首会談にも積極的な姿勢を示した。
小沢代表は、与党の修正方針については、「修正しないことを前提に議論しようというのでは話にならない」としてきた。
民主党の主張は、道路特定財源の一般財源化と、ガソリン税の暫定税率の廃止を即時実施せよというものだ。
民主党は、法案の年度内成立を阻止し、ガソリン価格を値下げさせて、政府・与党を追い込む戦術を一貫してとっている。首相の提案をもとに直ちに修正協議に応じるかどうかは不明だ。
首相は、暫定税率の即時廃止という民主党要求を「現実無視の議論」として、受け入れなかった。しかし、一般財源化の時期については、明確に示した。
これだけ民主党に譲歩した提案に対し、きちんと対応しなければ、民主党はいずれ国民の厳しい批判を浴びることになるだろう。
暫定税率について、首相は、環境問題や地方の道路整備の必要性、国・地方の財政状況を踏まえて「検討」する、とした。今後、与野党が議論を継続すればいいのではないか。
民主党は、参院第1党として、政治運営に重大な責任を負っている。“拒否政党”という汚名は、早く返上したほうがよい。
(2008年3月28日02時08分 読売新聞)