首相が特定財源一般財源化表明 自動車・石油業界が猛反発
2008年 03月 28日
FujiSankei Business i. 2008/3/28
福田康夫首相が27日、道路特定財源の一般財源化を表明したことに対し、経済界は「地方財政や国民生活の混乱を回避するための決断だ」(御手洗冨士夫・日本経団連会長)などと、一定の評価をしている。ただ、自動車や石油などの関係業界は、「受益者負担の原則に反する」と猛反発しており、道路整備の促進を名目にした暫定税率を維持したままでの、一般財源化をめぐり、改めて政府の説明責任が問われそうだ。
御手洗会長は、27日発表したコメントで、「野党は真摯(しんし)に受け止め、年度内に税制関連法案の成立を図ってほしい」とし、政府との協議を求めた。また、日本商工会議所の岡村正会長もコメントを発表。「現下の政治情勢からやむを得ない」と理解を示しながらも、「十分な道路整備予算を確保した上で、地方幹線道路の早期整備が確実に実行されることを望む」と注文を付けた。
これに対し、大手自動車メーカーの幹部は「到底納得できるものではない」と切り捨てた。
自動車、石油業界はこれまで、一般財源化は利益を享受する人が税を負担するという「受益と負担」の観点から、「幅広い使途に使われる一般財源をドライバーだけが負担するのはおかしい」と主張。先月には、JAF(日本自動車連盟)や石油連盟などが反対の共同声明を発表したばかりだ。
両業界は、小泉純一郎政権が一般財源化を打ち出した際にも猛反発。「一般財源化するなら道路整備を目的に高い税率を課している暫定税率は廃止するのが筋」などと主張し、署名集めなどのキャンペーンを展開してきた。
福田政権では、「必要な道路は整備する」との名目で、特定財源のほとんどを道路整備に投入することになり、一般財源化は事実上骨抜きとなっていた。
福田首相の決断をめぐっては、「ギリギリまで努力したことを示すためのポーズ」(政府関係者)との見方も出ている。ただ、会見では、民主党が応じない場合でも、方針を変えないと表明している。「4月末に関連法案を衆院で再可決し暫定税率を復活させるには、国民の理解を取り付ける必要がある」(同)のも確かで、道路整備計画の大幅な削減につながる可能性もある。
ただ、「車の利用が多い地方は、都市圏に比べて4~5倍近く(特定財源を)負担している」(天坊昭彦・出光興産社長)との指摘は多い。自民党の道路族議員らの説得も含めて、一般財源化は一筋縄ではいきそうもない。