野村元社員、不正の過半は他部署の案件
2008年 04月 24日
2008年04月24日03時04分
野村証券の元社員らによるインサイダー取引事件で、証券取引法(現・金融商品取引法)違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された中国人の元社員が、在籍していた「企業情報部」内の複数の課の責任者から仕事を頼まれ、本来、接触できないはずの自分の課以外の企業合併・買収(M&A)案件の情報システムにも容易に接続できていたことがわかった。
不正に株が売買されたとみられる21銘柄のうち、半数以上は別の課の案件だったとみられ、野村証券の管理体制が問われそうだ。
調べでは、野村証券がM&Aの助言業務を行う契約を結んでいた半導体関連会社「富士通デバイス」が富士通と株式交換により完全子会社化される事実を公表前に知った元社員のれい瑜(れい・ゆ)容疑者(30)=れいはがんだれに萬=は、これを留学生仲間だった蘇春光(そ・しゅんこう)容疑者(37)に伝えた。春光容疑者は07年5月8日から同月24日までの間、弟の春成(しゅんせい)容疑者(25)の名義などで富士通デバイスの株式計7千株を計1169万円で買い付けた疑いが持たれている。
れい容疑者は、06年2月の入社から昨年12月に香港の現地法人に転勤するまで、東京本社でM&A業務を担当する企業情報部の3課に在籍していた。逮捕容疑となった富士通デバイス株の買い付けでは、れい容疑者が助言業務の契約などに直接かかわっていたが、ほかの20銘柄のうち半数以上は別の課の案件だったという。
野村証券によると、企業情報部は総勢約120人で、東京、大阪、名古屋に部員を配置。このうち東京は顧客の所在地や業種などで七つの課に分かれて案件を担当している。
関係者によると、容疑事実があった当時、3課に所属していたれい容疑者は、入社から間もない「育成期間中」で、案件の最終責任者である「リーダー」からの指示を受けて資料作成などを行う「アソシエイト」と呼ばれる立場だった。リーダーが顧客にM&Aを提案する際に同席することもあったとされる。
M&Aなど機密情報を管理する同社のシステムは、案件にかかわっているメンバーだけに情報への接続権限があり、同じ課内でも案件にかかわっていない社員には権限が与えられない。ただ、権限をだれに与えるかは部長の裁量で、案件の重要な局面では資料作成などのために他の課のアソシエイトに権限が与えられることも多いという。れい容疑者も、こうした形で他課の複数のリーダーから仕事を頼まれていたとみられる。
捜査関係者によると、れい容疑者らは野村以外の証券会社に春光容疑者らが開設した五つの口座を使って21銘柄で不正な売買を繰り返し、容疑事実を含めて計4千万~5千万円の利益を得たとみられている。
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