野村証券の「処分検討」 インサイダー事件で金融庁
2008年 04月 23日
2008.4.23 18:26
野村証券社員らによるインサイダー事件を受け、金融庁は23日、同社に対する行政処分の検討を始めた。野村証券に対する聞き取り調査を開始するとともに、不正取引を防止する内部管理態勢や情報管理のあり方などを中心に点検する。問題があれば、業務改善命令を含む厳しい行政処分が下される可能性がある。
逮捕された野村元社員=22日付で解雇=は、平成18年2月の入社直後からM&A(合併・買収)などを担当する企業情報部に在籍、同年6月ごろインサイダー取引を始め、18カ月で21銘柄の不正取引に関与した疑いを持たれている。この間、野村証券は元社員の不正を見過ごした上、元社員は担当外の案件の情報も使って不正取引していたとみられ、管理責任は避けられないとの見方が強い。
野村は15年にもニチメンによるグループ会社株の公開買い付け(TOB)をめぐり、別の元社員がインサイダー取引で刑事告発されたが、金融庁は処分を見送った。野村側は今回も「個人の犯行」(渡部賢一社長)としており、金融庁は再発防止策など野村側の対応も見極めた上で慎重に判断するとみられる。
一方、23日の東京株式市場で野村ホールディングスの株価は、前日比27円安の1612円と続落。取引開始直後には大幅に値を下げ、一時前日比85円安の1554円まで売り込まれた。その後は買い戻しの動きも見られ、後場では1600円台前半でもみ合った。