G7に向け麻生首相が財務相・日銀総裁と会談
2008年 10月 08日
2008年 10月 8日 06:46 JST
[東京 7日 ロイター] 麻生太郎首相は7日夕、官邸で中川昭一財務相兼金融担当相や白川方明日銀総裁らと会談し、欧米を中心に金融危機が深刻化するなか、10日にワシントンで開催される7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、日本の不良債権処理の経験などメッセージを世界に発信するとともに、各国で支え合う合意が得られる努力を行うよう指示した。
会談後、麻生首相は記者団に対し、現在の欧米を中心とした金融システム問題について「日本の場合、金融システム、決済システムは欧米に比べて今のところ痛みは軽微」としながらも、「遠からず(日本の)実物経済に影響が出てくる。米国・中国という両方の輸出先が先行き駄目になる確率が極めて大きい。従って日本は内需がしっかりしてこないとうまくいかない」と先行きに警戒感を示した。
さらに、米国発の金融危機が欧州にも広がっている点を指摘し、「欧州の金融環境は大きく乱高下している。日本に(影響が)出てくることを懸念している」とし、足元の為替市場の状況について「ユーロもかなり具合が悪くなってきて、円がえらく買われている状況でもある」と語った。
その上で、ワシントンG7では「きちんとしたメッセージを出さないと影響が大きい」とし、G7に出席する中川財務相や白川日銀総裁に対して「皆で支えようという合意ができるような努力をしてもらいたい」と指示したことを明らかにした。
具体的には、日本として90年代後半に深刻化した不良債権問題を公的資金の活用などで乗り切った点を強調。「日本の場合は(金融機関に対して)13兆円の資本を投入し、他国に迷惑をかけずにくぐり抜けた。日本の経験として堂々と語れることのひとつ」と米政府による金融機関への公的資金注入に期待感をにじませた。
中川財務・金融相も官邸内で記者団に対し、麻生首相から世界へのメッセージ発信と世界との連携について指示を受けたことを明らかにした上で、G7では不良債権問題を乗り越えた日本の経験を説明すると述べるともに、「日本経済を悪くしないことで世界に貢献できる。緊急総合対策、補正予算について説明し、参考にしてもらいたい」と語った。
ただ、金融機関への公的資金注入を米政府に要請するのかとの質問には「求めるとか求めないではない。(公的資金注入は)米国が判断することだ」と述べるにとどめた。
(ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者 吉川 裕子記者)
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